症例42
年齢 | 30歳代 | |||
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現病歴 | 右頚部リンパ節腫脹に気づくも放置していた. 家族の意向から来院し、抗生剤を投与された.治療効果もなく、診断目的にリンパ節生検が施行された.リンパ節の大きさは10mm×10mm. |
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血液学所見 | WBC(/μl) | 51,200 | RBC(万/μl) | 298 |
Hb(g/dl) | 11.1 | Ht(%) | 28.4 | |
PLT(万/μl) | 5.4 | MCV(fl) | 95.3 | |
MCH(pg) | 37.2 | MCHC(%) | 39.1 | |
血液像(%) | Ab. Ly | 60 | ||
骨髄所見 | NCC(万/μl) | 14.6 | ||
Ab. Ly | 75 | |||
表面形質 | CD19, CD20, CD10, HLA-DR (+) |
[末梢血×1000.MG染色] リンパ球系細胞の増加には核形不整がみられる. 拡大して見る |
[骨髄×400.MG染色] リンパ球系細胞が優位で75%みられる. 拡大して解説を見る |
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[骨髄×1000.MG染色] リンパ球系細胞には幅の狭い切れ込みがみられる. 拡大して解説を見る |
[骨髄×1000.MG染色] なかには、核中心性に細長い切れ込みがみられる. 拡大して解説を見る |
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[頚部リンパ節×200.HE染色] やや乱れた構造がみられるが‥‥. 拡大して見る |
正解 : 3 濾胞性リンパ腫(FL)
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年齢 | 30歳代 |
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〜前発信〜 | |
末梢血所見から | 白血球増加(51,200/μl)に伴う分類にてリンパ球が60%(30,720/μl)と増加している. |
骨髄所見から | 骨髄はリンパ系が75%と優位で、核形不整が一部にみられる. それらは、細長い切れ込みが核中心に向かってみられる. 以上より形態学的には異常(病的)リンパ球と思われる. |
細胞化学所見から | 異常(病的)リンパ球はPO染色、PAS染色、EST染色に陰性である. |
【形態診断】 | 病的リンパ球は単一性で、特徴ある核中心への切れ込み(cleavedの形態)より、非ホジキンリンパ腫の濾胞性を疑った. |
〜後発信〜 | |
表面形質から | CD19、CD20、CD10、HLA−DR (+) |
分子生物学的から | 46,XY,t(14;18)(q32;q21) bcl-2 rearrangement (+) |
【臨床診断】 | 末梢血、骨髄のなかにみられる特徴的な形態異常から濾胞性リンパ腫にみられる病的リンパ球を考えた. 頚部リンパ節生検ではやや乱れた構造ながらも濾胞様構造が認められ中細胞型と診断された. 表面形質ではB細胞性、染色体ではt(14;18)、bcl-2再構成を認めたため濾胞性リンパ腫と診断された. |
WHO分類 | 成熟B細胞性腫瘍 Mature B-cell neoplasms ☆濾胞性リンパ腫 Follicular lymphoma |