症例53
年齢 | 10歳代 | |||
---|---|---|---|---|
現病歴 | 入院12日前、両側臀筋痛にて近医受診するも問題はなく経過観察となる. 入院3日前歩行障害、膀胱直腸障害が出現し、他院にてMRIが施行され、L4〜S1にかけ硬膜外腫瑠を指摘され、精査目的のため当院入院となる. 右下腹部に腫瘤あり. |
|||
血液学所見 | WBC(/μl) | 8,400 | RBC(万/μl) | 366 |
Hb(g/dl) | 9.1 | Ht(%) | 28.3 | |
PLT(万/μl) | 7.9 | MCV(fl) | 77.3 | |
MCH(pg) | 24.8 | MCHC(%) | 32.1 | |
血液像(%) | 異常細胞(+) | |||
骨髄所見 | NCC(万/μl) | 14.5 | BM-MgK | 50 |
異常細胞(%) | 94.6 | |||
生化学所見 | LDH 1,525 IU/l、フェリチン 346 ng/ml |
[末梢血×1000.MG染色] 細胞径16μm大の異常細胞がみられる.クロマチンは繊細で大きな空胞を有する. 拡大して解説を見る |
[骨髄×400.MG染色] 三核の細胞は有尾状で、周囲にはN/C比の高い大型細胞が孤立性にみられる. 拡大して見る |
|
[骨髄×1000.MG染色] 二核の有尾細胞はクロマチンの凝集塊を認め粗荒である. 拡大して見る |
[骨髄×1000.PAS染色] 有尾細胞はPAS染色に塊状から顆粒状の陽性である. PO染色は陰性である. 拡大して見る |
|
[骨髄×1000.免疫染色] 孤立性や多核細胞の免疫染色の所見である. 左(1)LCA 、右(2) desmin. 拡大して解説を見る |
正解 : 5 転移性横紋筋肉腫
拡大した形態画像には、解説が含まれています。
年齢 | 10歳代 |
---|---|
〜前発信〜 | |
末梢血所見から | 白血球(8,400/μl)の分類にて芽球様細胞がみられる. |
骨髄所見から | 大小不同性で細胞質は好塩基性を呈し、2〜5個の核小体を有し、粗網状の核を有する異常細胞に骨髄は置換されている. 異常細胞のなかには多核のものもあり有尾状のものもみられる. |
細胞化学所見から | 異常細胞はPO染色、EST染色に陰性である. PAS染色に塊状から顆粒状の陽性がみられる. |
【形態診断】 | 血液細胞と異なる形態を示すことで異常細胞としたが、それらは多核から孤立性のものがみられる. 一部に空胞を有するものや多核には有尾状(横紋筋?)のものがみられ、PAS染色に顆粒状から塊状の陽性がみられる. 光顕的に横紋筋肉腫を疑い、それに関連する抗体の検索が必要になる. 末梢血の芽球様細胞は恐らく本細胞と思われる. |
〜後発信〜 | |
免疫染色から | デスミン、ビメンチン(+) |
染色体所見から | 47,XY,der(1)t(1;13)(p36;q14),+2,-13,+21,4〜17dmin |
【臨床診断】 | 骨髄の異常細胞は光顕的所見ならびに免疫染色より横紋筋肉腫を考え、硬膜外腫瘤における切除術にて、デスミン、ビメンチンが陽性より横紋筋肉腫の胞巣型(alveoral type)と診断された. 入院後10日目より厚生省横紋筋肉腫(RMS)プロトコールにて化学療法が開始された. 入院1ヶ月後に末梢血幹細胞移植が施行された. 以後経過観察中であったが、入院約5ヶ月目に敗血症で死亡される. |
腫瘍分類 | 骨髄転移性腫瘍 ☆転移性横紋筋肉腫 Metastatic rhabdomyosarcoma |