症例52
年齢 | 10歳未満 | |||
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現病歴 | 両側下肢痛(左膝部内側,両大腿部,両股関節部)、歩行困難を主訴. 微熱を認め近医を受診する.白血病が疑われ当科紹介受診となる. | |||
血液学所見 | WBC(/μl) | 8,360 | RBC(万/μl) | 401 |
Hb(g/dl) | 10.8 | Ht(%) | 33.1 | |
PLT(万/μl) | 20.1 | MCV(fl) | 82.5 | |
MCH(pg) | 26.9 | MCHC(%) | 32.6 | |
血液像(%) | St-Seg 58, Ly 33, Mo 5, Eo 3, Ba 1 | |||
骨髄所見 | NCC(万/μl) | 22.6 | MgK(/μl) | 31.25 |
異常細胞(+) | ||||
生化学所見 | LDH 425 IU/l、CRP 8.4mg/dl |
[骨髄×400.MG染色] 塗抹辺縁を鏡検すると怪しげな細胞集団がみられる. 拡大して見る |
[骨髄×1000.MG染色] 細胞集団は擬似のロゼット形成としてみられるものがある. 拡大して解説を見る |
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[骨髄×1000.MG染色] 孤立散在性のものは芽球様細胞を思わせる. 拡大して解説を見る |
[骨髄×1000.PO染色] 孤立性から集塊状の細胞はPO染色、PAS染色に陰性である. 拡大して解説を見る |
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[骨髄×400.EST染色] EST染色(α-NB)は陰性である. 拡大して見る |
正解 : 2 転移性神経芽細胞腫
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年齢 | 10歳未満 |
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〜前発信〜 | |
末梢血所見から | 精査のための血液検査では貧血があるが血液像では著変はない. |
骨髄所見から | 骨髄は正形成で分類上では変化はないが、骨髄標本の最終チエックにて辺縁に細胞集団がみられた. それらは、擬似のロゼット形成がみられ、孤立散在性の細胞についてもその系統が考えられる. |
細胞化学所見から | 集塊状の細胞はPO染色、PAS染色、EST染色に陰性である. |
【形態診断】 | 集塊状のものをよく観察すると、クロマチンは網目状で血液細胞の形態に相反するものと解釈した. 臨床的所見の歩行困難を考慮すると骨髄転移像を疑い形態像より神経芽細胞腫を考えた. |
〜後発信〜 | |
臨床所見追加 | 入院2日前 白血病を疑い、骨髄穿刺をするもその所見はなし. 移動性関節炎、ASLO軽度高値、TP高値、CRP高値、ESR亢進からリウマチ熱を疑い、入院1日前 ECG、UCGを施行するも特に所見なし. 下肢痛に対しナイキサンを処方する. 入院時 施行した尿中VMA(42.6mg/l)、尿中UHVA(21.8mg/l)の上昇より神経芽細胞腫を考え、MIBGシンチ、頭部単純CT、胸部〜骨盤造影CTが施行された. [異常所見]MIBG:上腹部正中に高度集積(原発巣?)、頭蓋骨・肩関節・胸骨・脊椎・大腿骨・下肢骨に転移、肝転移あり. 腹部大動脈、下大静脈、脾静脈に接するように腫瘍(6cm×4cm)を認める.NSE定量でも261ng/ml (0〜10ng/ml)と上昇していた. |
【臨床診断】 | 骨髄の形態学的所見から神経芽細胞腫を疑い、臨床的にも上腹部正中に高度集積を認め、骨広汎に転移像がみられ、VMA、UHVA、NSE定量で高値を示したことより神経芽細胞腫(StageW)と診断された. |
腫瘍分類 | 骨髄転移性腫瘍 ☆転移性神経芽細胞腫 Metastatic neuroblastoma |