症例9
年齢 | 50歳代 | |||
---|---|---|---|---|
現病歴 | 倦怠感にて来院し、血液検査にて芽球様細胞を認めたため入院となる. | |||
血液学所見 | WBC(/μl) | 3,540 | RBC(万/μl) | 319 |
Hb(g/dl) | 10.5 | Ht(%) | 33.2 | |
PLT(万/μl) | 11 | MCV(fl) | 104.0 | |
MCH(pg) | 32.9 | MCHC(%) | 31.6 | |
血液像(%) | Blast(2)、奇形赤血球(+) | |||
St-Seg 66, Lym 20, Mo 6, Eo 5, Ba 1 | ||||
骨髄所見 | NCC(万/μl) | 16.2 | Mgk (μl) | 75.0 |
Blast様(%) | 6.0 | M/E比 | 0.42 | |
生化学所見 | LDH 582 IU/l, CRP 0.78 mg/dl |
[骨髄×400.MG染色] 骨髄は低形成ながら赤芽球系(M/E比0.42)が優位である. 拡大して見る |
[骨髄×1000.MG染色] 芽球様細胞は6%で、顆粒球系に偽ペルゲル異常や低顆粒、顆粒の分布異常を認める. 拡大して解説を見る |
|
[骨髄×1000.MG染色] 赤芽球は巨赤芽球様変化や、二核のものがみられる. 拡大して解説を見る |
[骨髄×1000.PO染色] 顆粒球系細胞のPO染色では部分的陽性を認める. 拡大して解説を見る |
|
[骨髄×1000.Fe染色] 環状鉄芽球が全赤芽球の20%以上にみられる. 拡大して解説を見る |
正解 : 4 MDS(環状鉄芽球を伴うRAEB-T)
拡大した形態画像には、解説が含まれています。
年齢 | 50歳代 |
---|---|
〜前発信〜 | |
末梢血所見から | 白血球(3,540/μl)の分類にて芽球様細胞が2%みられた. |
骨髄所見から | 骨髄は正形成であり、M/E比は0.42と赤芽球が優位である. 異形成としては、顆粒球に偽ペルゲル異常や脱顆粒が、赤芽球系に強い核融解と巨赤芽球様変化がみられる. 巨核球系にはさほど異常はみられない. 芽球様細胞は6〜7%である. 形態異常は10%以上にみられる. |
細胞化学所見から | 赤芽球はPAS染色に陰性、Fe染色で環状鉄芽球を20%認める. 骨髄系はPO染色に偏りの陽性(部分的陽性)がみられる. |
【形態診断】 | 骨髄にて芽球様細胞が10%以下(6〜7%)、2系統に形態異常が10%以上みられた. 環状鉄芽球が15%以上みられたが、芽球の割合が5%を超えることで芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB−1)に分類して、環状鉄芽球の出現は併発所見として解釈した. |
〜後発信〜 | |
染色体所見から | 44,XY,der(1)(q21),add(4)(p16),-5,del(7)(q22q32),del(16)(q13),add(17)(p11)
‥11/20 cells 43,idem,-dic(15;20)8p11;q11‥1/20 45,X,-Y‥1/20 cells 46,XY‥7/20 cells |
【臨床診断】 | 2系統に形態異常が強く、骨髄の芽球が5%以上あることが優先であり、それに環状鉄芽球が併発したものと考えMDSのRAEB-1と診断された. AraC+IDR療法を施行し、部分寛解へ導入されたが、入院11ヶ月後、食道がんを合併した. MDSの治療は継続されたが、食道がんの治療は拒否された.MDS期からAMLへ移行され、入院16ヶ月後、感染症併発し、肺炎が増悪し腫瘍死(AML)された. |
WHO分類 | 骨髄異形成症候群 Myelodysplastic syndromes ☆芽球増加を伴う不応性貧血 (RAEB-1) ‥環状鉄芽球を伴う Refractory anemia with excess blast (RAEB-1) with ringed sideroblast |