HOME > 血液検査コーナー > 検査技師のための電脳・血液形態塾 > 症例33

検査技師のための電脳・血液形態塾

電脳・血液形態塾
トップへ

症例33

年齢 5歳未満
現病歴 入院3日前より発熱があり、左関節痛もみられ近医受診し、肝腫大、汎血球減少がみられ、急性白血病疑いにて当院紹介入院になる.
血液学所見 WBC(/μl) 2,200 RBC(万/μl) 221
Hb(g/dl) 6.5 Ht(%) 21.4
PLT(万/μl) 3.7 MCV(fl) 96.8
MCH(pg) 29.4 MCHC(%) 30.4
血液像(%) Blast 8, Seg 12, Ly 79, Mo 1
骨髄所見 NCC(万/μl) 1.6 BM-MgK 0
Blast様(%) 98.0  
生化学所見 LDH 2,808 IU/l,UA 6.2 mg/dl,CRP 8.15 mg/dl
染色体所見 46,XY

 
[末梢血×1000.MG染色
芽球様細胞は細胞径16μm大でN/C比が高く、核形不整が顕著でクロマチンは繊細網状である.
拡大して見る
[骨髄×1000.MG染色
芽球様細胞はN/C比が高く、クロマチンは粗網状で濃染性を呈し空胞を認める.
細胞質は強好塩基性である.
拡大して見る
 
 
[骨髄×1000.MG染色
芽球様細胞は核形不整で、細胞質には中等度の好塩基性に打ち抜き状の空胞が多くみられる.
拡大して見る
[骨髄×1000.PAS染色
芽球様細胞は粗大顆粒状の陽性がみられる.PO染色は陰性である.
従ってリンパ芽球が考えられる.
拡大して見る
 
 
[骨髄×1000.PAS染色
芽球様細胞は点状の陽性もみられる.
拡大して見る
 

解説&臨床診断



 正解 : 5 前駆B細胞性リンパ芽球性白血病(PBLL)

拡大した形態画像には、解説が含まれています。

年齢 5歳未満
〜前発信〜
末梢血所見から 汎血球減少症のなか白血球(2,200/μl)の分類にて芽球様細胞が8%みられる.
骨髄所見から 骨髄は低形成ながらも芽球様細胞は98%みられ、それらはN/C比は高く、クロマチンは粗網状で、核形不整や核小体がみられる.
細胞質は中等度の好塩基性で打ち抜き状の空胞がみられる.
細胞化学所見から 芽球様細胞はPO染色に陰性で、PAS染色に粗大顆粒状から点状の陽性がみられる.
【形態診断】 芽球様細胞はPO染色に陰性、PAS染色では粗大顆粒状や点状の陽性よりリンパ系が示唆される. 一見ALL-L3様であるが、PAS染色の強陽性態度はL3以外のB細胞性ALLを強く疑った.
〜後発信〜
表面形質から CD19(96.2%)、CD10(95.6%)、CD22(96.6%)、HLA-DR(94.5%)、
CD34(96.6%)、CD38(95.6%)、CD33(91.3%)、sIg(-)
染色体所見から 46,XY‥20/20cells、
【臨床診断】 光顕的所見よりALL-L3を考えたが、PAS染色が陽性、表面形質ではsIg(-)よりそれは否定されるものであった. CD10陽性よりcommon ALL付近の起源が考えられ、CD33陽性については混合性も範疇となる.
WHO分類 前駆B細胞性腫瘍 Precursor B-cell neoplasm
☆前駆B細胞性リンパ芽球性白血病 Precursor B lymphoblastic leukemia


電脳・血液形態塾
トップへ


前の症例へページTOPへ

 


ページトップ