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症例31

年齢 10歳代
既往歴 Down症候群
現病歴 1ヶ月前から左膝痛が出現し近医受診するも“成長痛”として経過する. 痛みはとれず、発熱を来たし、左肩痛を訴え某院を受診する.末梢血で芽球様の出現と重症感染症の疑いで精査、加療目的で当科紹介入院となる.
血液学所見 WBC(/μl) 8,060 RBC(万/μl) 446
Hb(g/dl) 14.0 Ht(%) 41.3
PLT(万/μl) 18.5 MCV(fl) 92.6
MCH(pg) 31.4 MCHC(%) 33.9
血液像(%) Blast 12,St 8 Seg 51,Ly 24,Mo 5
骨髄所見 NCC(万/μl) 34.0 BM-MgK  15
Blast様(%) 93.6  
生化学所見 LDH 3,351 IU/l,CRP 21.7 mg/dl
染色体所見 47,XY,+21‥10/20、48,XY,+21,t(1;19),+m‥1/20
48,XY,+21,+?‥2/20、47,WY,+21,-10,+?‥1/20

 
[骨髄×400.MG染色
芽球様細胞の増加と分裂像がみられる.
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[骨髄×1000.MG染色
芽球様細胞はクロマチンは粗網状で核形不整や一部に核小体がみられる.
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[骨髄×1000.MG染色
芽球様細胞のクロマチンは繊細から粗網状のものがみられる.
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[骨髄×1000.PO染色
芽球様細胞はPO染色に陰性である.
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[骨髄×1000.PAS染色
芽球様細胞はPAS染色に点状陽性である.
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解説&臨床診断



 正解 : 3 前駆B細胞性リンパ芽球性白血病(PBLL)

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年齢 10歳代
〜前発信〜
末梢血所見から 血球減少はなく、発熱と感染症疑いの血液検査にて芽球様細胞が12%みられる.
骨髄所見から 芽球様細胞は93.6%みられ、それらは大小不同性で、クロマチンは粗網状、核形不整がみられ、なかには分裂像も散見される.
細胞化学所見から 芽球様細胞はPO染色に陰性で、PAS染色に点状の強陽性がみられる.
【形態診断】 芽球のPAS染色における粗大顆粒状や点状(塊状)陽性は陽性率に関係なくリンパ芽球を支持するものである. PO染色陰性も加味しALLを考えた.
〜後発信〜
表面形質から CD10(99.9%)、CD19(99.8%)、HLA-DR(99.9%)、sIg(-)、cIg(-)
染色体所見から 47,XY,+21‥10/20、48,XY,+21,t(1;19),+m‥1/20
48,XY,+21,+?‥2/20、47,XY,+21,-10,+?‥1/20
【臨床診断】 光顕的所見よりALLを疑い、芽球の起源はCD10陽性(common type)のALLが考えられた. 本例はダウン症の症例である.
初発時の発熱、CRPの高値は重症感染症の合併は否定できず、染色体検査では複雑多数や由来不明(?)の核型異常を認めた.
WHO分類 前駆B細胞性腫瘍 Precursor B-cell neoplasms
☆ダウン症を伴った急性リンパ性白血病 ALL with Down's syndrome


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