症例27
年齢 | 60歳代 | |||
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現病歴 | 心悸亢進が出現し、近医を受診したところ、血液検査にて貧血と芽球の出現から白血病が疑われ当院に紹介入院となる. | |||
血液学所見 | WBC(/μl) | 7,800 | RBC(万/μl) | 220 |
Hb(g/dl) | 7.1 | Ht(%) | 18.6 | |
PLT(万/μl) | 8.1 | MCV(fl) | 84.5 | |
MCH(pg) | 32.2 | MCHC(%) | 38.1 | |
血液像(%) | Blast 12, St-Seg 39, Ly 39, Mo 8, Eo 2, | |||
骨髄所見 | NCC(万/μl) | 16.1 | Mgk(/μl) | 200 |
Blast様(%) | 80.0 | |||
生化学所見 | LDH 5,211 IU/l、CRP 2.25 mg/dl | |||
染色体所見 | 46,XY |
[骨髄×400.MG染色] 大型でN/C比が高く空胞を有する細胞が優位である. 拡大して見る |
[骨髄×1000.MG染色] 核は類円形で中等度の好塩基性の細胞質には空胞がみられる. 拡大して見る |
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[骨髄×1000.MG染色] クロマチンは粗網状(淡染)から結節状(濃染状)で核小体が著明である. 拡大して解説を見る |
[骨髄×1000.MG染色] 淡染の大型細胞が優位であるが、濃染状の細胞は赤芽球を思わせる. 従って芽球は一連の流れから赤芽球系を考える. 拡大して解説を見る |
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[骨髄×1000.PO染色] 芽球様細胞はPO染色に陰性である. 拡大して解説を見る |
正解 : 4 急性赤白血病(M6b)
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年齢 | 60歳代 |
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〜前発信〜 | |
末梢血所見から | 二血球減少 と白血球(7,800/μl)の分類にて芽球様細胞が12%みられる. 芽球様細胞は20〜30μmの大型で、N/C比は低く、細胞質はくすんだ好塩基性で空胞を認めるものがある. |
骨髄所見から | 骨髄は、正形成で巨核球は減少し、芽球様細胞は80%みられる. 芽球様細胞は小型〜大型と多彩、核形不整が顕著で、クロマチンは繊細から粗顆粒状で、骨髄系と赤芽球系の双方を思わせる様相を呈する. また細胞質はくすんだ好塩基性で、顆粒を持たず、空胞を有するものが多いがある. |
細胞化学所見から | 芽球様細胞はPO染色、EST染色に陰性である. |
【形態診断】 | 芽球様細胞は一見単球系をも思わせるが、EST染色が陰性であり、PO染色陰性の急性白血病を考えた. TypeT芽球が主体で、背景に赤芽球系を思わせるものもみられることより赤芽球系の起源も考えM6を疑った. |
〜後発信〜 | |
表面形質から | 骨髄細胞コロニー培養細胞にてGlycophorinAが陽性である. |
染色体所見から | 46,XY |
【臨床診断】 | 骨髄細胞コロニー培養細胞はエリスロポエチン添加によりコロニー形成が認められた. 従って未熟な赤芽球系の増殖とみなし、Early erythroid leukemia と診断された. |
WHO分類 | 特異的染色体異常を伴わないAML ☆M6b (Acute erythroid leukemia: Pure erythroid leukemia ) |
(本例は長崎大学医学部・歯学部付属病院血液内科 宮崎泰司先生のご提供によるもの)