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症例6

年齢 70歳代
現病歴 貧血、全身倦怠感を主訴に来院し、精査のため骨髄検査が施行された.
血液学所見 WBC(/μl) 6,600 RBC(万/μl) 163
Hb(g/dl) 5.1 Ht(%) 15.5
PLT(万/μl) 2.9 MCV(fl) 95.1
MCH(pg) 31.3 MCHC(%) 32.9
血液像(%) St-Seg 56, Ly 32, Mo 5, Eo 4, Ba 3
骨髄所見 NCC(万/μl) 52.5 MgK(/μl) 150
M/E比 8.4 Blast様(%) 2.4
生化学所見 LDH 360 IU/l, CRP 3.45 mg/dl

 
[末梢血×1000.MG染色
赤血球の著減に伴い、中央淡明の広いものや赤血球断片を認める.
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[骨髄×400.MG染色
末梢血の汎血球減少に相反して骨髄は過形成である.
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[骨髄×1000.MG染色
骨髄の過形成では顆粒球系に異形成がみられる.
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[骨髄×1000.MG染色
芽球様細胞は正常に比べ大型で、N/C比は低く、核は類円形である.
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[骨髄×1000.PAS染色(左).Fe染色(右)]
成熟赤芽球はPAS染色に一部陽性、Fe染色に陽性がみられる.
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解説&臨床診断



 正解 : 5 MDS(鉄芽球を伴うRCMD:RCMD−RS)

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年齢 70歳代
〜前発信〜
末梢血所見から 二血球減少の血液像では、赤血球形態に菲薄赤血球や奇形赤血球がみられ、芽球は認めない.
骨髄所見から 骨髄は過形成であり、M/Eは8.4と顆粒球が優位で分化段階がみられる.
異形成としては、顆粒球系に大型化と一部に低顆粒と偽ペルゲル核異常、赤芽球系に大型化・多核と巨赤芽球様変化を認める.また、血小板系に小型巨核球を認める.
芽球は3%以下であるが、正常型に比べると細胞質は豊富で著明な核小体がみられる.
細胞化学所見から 赤芽球のなかにPAS染色の陽性や環状鉄芽球(25%)を認める. 鉄染色では、鉄利用の悪さを証明するマクロフアージの鉄顆粒の取り込みがみられる.
【形態診断】 二血球減少症と骨髄の過形成は無効造血を示唆するものである. また、三系統に形態異常を認め、芽球も異型性を認めることよりMDSを考えた.
末梢血の芽球が0%、骨髄の芽球が5%以下と二系統以上に形態異常を認め、しかも環状鉄芽球を認めたことでMDSのRCMD-RSを疑った.
〜後発信〜
【臨床診断】 貧血、血小板減少症と骨髄における種々の形態異常よりMDSを考える.
末梢血、骨髄の芽球の割合が5%以下と三系統の形態異常、環状鉄芽球を伴うものとしてRCMD-RSと診断された.
WHO分類 骨髄異形成症候群 Myelodysplastic syndromes
☆多血球異形成と鉄芽球伴う不応性血球減少症 Refractory cytopenia with multilineage dysplasia and ringed sideroblast (RCMD-RS)


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