第21回 「マンスリー形態マガジン」 2013年1月号

『 九州からのメッセージは海を越えて 』

前 略

  新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。2013年がみなさまにとって良い年でありますようお祈り申し上げます。
  さて、2006年10月に九州がんセンターのホームページより『血液腫瘍画像データベース』を公開しました。このデータベースは、厚労省第3次対がん総合戦略研究事業の一環として開始し、登録症例数202例、画像1,551枚の造血器腫瘍の専門サイトです。公開から現在までに累計1,663,405件のページビューを記録し、毎月35,000~40,000件の閲覧を頂いております。アクセス数は、国内では東京,大阪,福岡,北海道,神奈川県の順で多く、国外ではアジア、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアの順となります。
  東京から遠く離れた九州で始めたデータベースですが、今では世界中からアクセスを頂くようになり、まさにミクロの世界からマクロの世界へ繋がるまでに至りました。
今後も新たな情報発信に努めていきますのでご意見などお待ちしております。

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 




著作権について

問題

CASE 1 ~ 5の細胞像を確認頂き、1 ~ 5の細胞同定を行ってください。

1-1CASE 1

  • BM-MG×1000

1-2CASE 2

  • BM-MG×1000

1-3CASE 3

  • BM-MG×1000

1-4CASE 4

  • BM-MG×1000

1-5CASE 5

  • BM-MG×1000

解答・解説

  • (BM-MG×1000)Case1
    case1
  • (正解と解説)
    【正解】  1. 破骨細胞
    【解説】 
    細胞の大きさが100μm大のとても大きな多核細胞です。骨の破壊や新生時に出現すると言われています。核は円形か卵円形の核が複数含まれ、青染する核小体を1個位有します。細胞質は不鮮明で淡青色かピンク色で粗大なアズール顆粒が見られます。巨核球と類似していますが、巨核球は核の複雑な分葉が特徴ですので、通常ではこのように単核で散在することはないようです。



  • (BM-MG×1000)Case2
    case2
  • (正解と解説)
    【正解】 2. 骨髄巨核球
    【解説】 
    CASE 1で巨核球は多核にならないと申しましたが、これは多核の巨核球です。この細胞は形態異常によるもので正常の巨核球であれば、核同士は核糸で連なっていますが成熟障害により核糸が断裂したと思われます。また、80μm大の大型な細胞で、核は大小不同で細胞質には微細~細かなアズール顆粒を有しております。



  • (BM-MG×1000)Case3
    case3
  • (正解と解説)
    【正解】 3. 形質細胞
    【解説】 
    この細胞は80μm大の大型な多核細胞です。通常20μm大で核は偏在し、多少の核周明庭がみられます。豊富な細胞質は淡いピンク色ですが、それは辺縁部に特に強く見られ、このピンク色の細胞質は免疫グロブロンの活発な産生が窺われ、4 核の形質細胞と同定しました。



  • (BM-MG×1000)Case4
    case4
  • (正解と解説)
    【正解】 4. 破骨細胞
    【解説】 
    細胞の大きさが100μm以上のとても大きな単核の多核細胞です。卵円形の核が複数含まれ、細胞質は不鮮明で淡青色かピンク色で、一部にはアズール顆粒がみられます。本細胞はCASE 1と同様に破骨細胞と同定しました。



  • (BM-MG×1000)Case5
    case5
  • (正解と解説)
    【正解】 5. 赤芽球島
    【解説】 
    集団中央に位置する細胞はマクロファージのようで、赤芽球がその周囲を取り囲んだ状態と思えます。これは、赤芽球が鉄顆粒を取り込んだマクロファージから鉄の補給を受けている様と言われております。まるで“親鳥がヒナを育てている”ようにも思え、形態にロマンを感じる1シーンでもあります。



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