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症例45

年齢 5歳未満
現病歴 腸重積、イレウスのため入院.
回盲部切除が行われた回盲部周囲の先進部に腫脹したリンパ節生検が行われたが、その他の腸間膜リンパ節も腫脹していた.
血液学所見 WBC(/μl) 10,890 RBC(万/μl) 492
Hb(g/dl) 12.8 Ht(%) 43.2
PLT(万/μl) 70.1 MCV(fl) 87.8
MCH(pg) 26 MCHC(%) 29.6
血液像(%) St-Seg 72, Ly 19, Mo 6, Eo 3
生化学所見 LDH 892 IU/l, CRP 0.36 mg/dl
染色体 46,XY,t(8;14)((q24;q34)

 
[回盲部周囲リンパ節×400.MG染色
N/C比が高く、小型で円形核細胞の増加を認める. 周囲には核影がみられる.
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[回盲部リンパ節×1000.MG染色
円形核細胞は細胞径14μm大で、好塩基性が強く、空胞や著明な核小体がみられる.
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[回盲部リンパ節×1000.PO染色
円形核細胞はPO染色に陰性である.
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[回盲部リンパ節×1000.PAS染色
円形核細胞はPAS染色に陰性である.
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[回盲部リンパ節×1000.ACP染色
円形核細胞はACP染色 にび慢性陽性である.
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解説&臨床診断



 正解 : 1 バーキットリンパ腫(BL)

拡大した形態画像には、解説が含まれています。

年齢 5歳未満
〜前発信〜
末梢血所見から 白血球増加(10,890/μl)の血液像には著変なし.
リンパ節所見から 回盲部周囲のリンパ節生検のスタンプ標本にて、均一な小型リンパ球の増生が見られる.核形不整はさほどみられず、核小体を有するものがみられる.
それらのクロマチンは粗荒で細胞質の好塩基性で小型ながら空胞が著しい.
細胞化学所見から 増生細胞はPO染色PAS染色に陰性である.
【形態診断】 増生細胞は形態学的に、ならびにPO染色が陰性よりリンパ球系が考えられる.
細胞は一見成熟型思わせるが、細胞質の好塩基性と空胞が気になる.
NHL(非ホジキンリンパ腫)のmedium cell type もしくはBurkitt lymphomaを考えた.
〜後発信〜
表面形質から CD19(91.4%)、CD20(98.8%)、CD22(93.9%)、HLA-DR(99.3%)
IgM(91.2%)、L-kappa(96.3%)
分子生物学的から 46,XY,t(8;14)(q24;q34)、 MYC/IgH (+)
MYC/IgHgene (+)
【臨床診断】 回盲部周囲のリンパ節に増殖したリンパ球系細胞は形態学的ならびに免疫学的よりバーキットリンパ腫を疑った. 染色体検査からt(8;14)
(q24;q34)の核型異常とMYC/IgH遺伝子が証明され、バーキットリンパ腫と診断された.
WHO分類 成熟B細胞性腫瘍 Mature B-cell neoplasms
☆バーキットリンパ腫 Burkitt lymphoma


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