症例20
年齢 | 30歳代 | |||
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既往歴 | B型慢性肝炎 | |||
現病歴 | 頭痛、打撲で来院し、血液検査にて芽球様細胞がみられたため入院となる. | |||
血液学所見 | WBC(/μl) | 11,160 | RBC(万/μl) | 378 |
Hb(g/dl) | 10.7 | Ht(%) | 32.5 | |
PLT(万/μl) | 13.2 | MCV(fl) | 85.9 | |
MCH(pg) | 28.3 | MCHC(%) | 32.9 | |
血液像(%) | Blast様 | 59.0 | ||
骨髄所見 | NCC(万/μl) | 30.3 | MgK (μl) | 15.0 |
Blast様 | 97.0 | |||
生化学所見 | LDH 664 IU/l, CRP 1.33 mg/dl |
[骨髄×400.MG染色] N/C比の高い芽球様細胞が増加してみられる. 拡大して見る |
[骨髄×1000.MG染色] 芽球様細胞は16μm大の小型で、N/C比は高くクロマチンは粗網状である. 拡大して見る |
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[骨髄×1000.PO染色] 芽球様細胞はPO染色に陽性がみられる. 拡大して解説を見る |
[骨髄×1000.SBB染色] 芽球様細胞はSBB染色に陽性がみられる. 拡大して解説を見る |
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[骨髄×1000.PAS染色] 芽球様細胞はPAS染色に陽性がみられる. 拡大して解説を見る |
正解 : 2 急性骨髄性白血病(M1)
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年齢 | 30歳代 |
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〜前発信〜 | |
末梢血所見から | 白血球増加(11,160/μl)の分類にて芽球様細胞が59%みられる. |
骨髄所見から | 骨髄にて芽球様細胞は97%と増加し、それらは小型でN/C比は高く、クロマチンは粗網状である. アウエル小体は不明であり、一見リンパ系を思わせる. |
細胞化学所見から | 芽球様細胞はPO染色に5%が陽性、SBB染色に5%が陽性である. PAS染色は極一部(2%)に陽性(点状)である. |
【形態診断】 | 骨髄の小型芽球は90%以上を占め、PO,SBB染色が低率ながら3%以上陽性より、AML-M1を考える. しかし、PAS染色における2%前後の陽性態度(点状)は骨髄系というよりもリンパ系を示唆するものと思われ、混合性白血病も考慮し表面形質の結果を待つ. |
〜後発信〜 | |
表面形質から | CD33、CD34(+) |
染色体所見から | 46,XX‥6/6 cells |
【臨床診断】 | 芽球様細胞はPO,SBB染色に3%以上が陽性と骨髄系抗原の陽性よりAML-M1と診断された.表面形質の詳細な所見がとれず、PAS染色の一部陽性所見については不明. 入院135日目にallo-BMTが行われた(HLA完全一致の姉より). Day21にVNTR(DNA解析による個人識別の検査)にて生着を確認する. day 22にAcute GVHD gradeT(skin stage T)であった. さらに3年後にallo-PBSCTがおこなわれた. |
WHO分類 | 特異的染色体異常を伴わないAML ☆AML-M1 AML without maturation |