前 略
東日本大震災から5年目を迎えました。
3月10日現在(警視庁まとめ)、死亡15,894人・不明2,561人、2月12日現在(復興庁まとめ)、避難・転居174,471人とされます。
ちょうど震災の年から毎年7月に仕事で仙台へお伺いしておりますが、機内から視る仙台空港あたりの復興はまだまだのように思えます。地元紙によると、奥様を捜すためにダイビングの資格を取り海底を探しているご主人、週末になると海に向かって子供の名前を呼び続けている父親、呆然と海を眺めている人‥様々の人間模様がみられるなか、心の傷は癒されることなく時間は過ぎています。地元に戻りたい被災者は20%を切り、未だ仮設住宅の入居者は21,464人と言われます。ちなみに阪神大震災では5年後で仮設住宅の入居者はゼロだったそうです。
さて、本マンスリー形態マガジンの第10回にも紹介させていただきましたK.愛海(まなみ)ちゃん(当時4歳)は今年で9歳を迎えました。今年3月11日の讀賣新聞に母の遺体が見つかった海岸で花を手向ける姿が掲載されていました。震災後、ご両親と妹が津波で行方不明だった愛海ちゃんのその後が私も気になっておりましたが、母親は震災1週間後に25キロ離れた釜石市の海岸で見つかった遺体のDNA鑑定で6月末に母親と判明され、父と妹は未だ不明だそうです。
“ままへ。いきてるといいね おげんきですか“覚えたての平仮名で手紙を書き、疲れたのかそのまま寝入りした姿が誌面に掲載さてから5年が経過したことになります。庭先の漁具に引っかかり一命をとりとめ、その後祖父母との生活が始まりました。2013年の春に入学した小学校では友達に恵まれ学級委員になって元気に登校しているそうです。当時、皇后陛下は“文(ふみ)に項傾(うなかぶ)し幼な児眠る”と詠んでおられました。
震災から5年目を迎え、テレビなど報道で一面に取り上げられてはいますが、翌日からは普通の日常に戻ってしまっているような気がします。
被災地の現状を伝える報道はこれからも減っていくことが予想されますが、何よりも「記憶の風化」にならないように、子供たちにしっかり継承していくことが大人たちの役割だと思えます。
(資料:讀賣新聞.2011.3.22/2016.3.11)
草々
形態マガジン号キャプテン 阿南 建一
ままえ。いきているといいね おげんきですか
文に項傾し幼児眠る(皇后陛下) (讀賣新聞.2011.3.22)
今回は末梢血・骨髄像の普通染色の注意点と光顕的診断に挑みます。
日常より実施している普通染色に起こり得る点に迫ってみました。
検体採取に始まり、標本作製のための塗抹、乾燥、染色の一連のながれを今一度振り返る意味からも考えてみてください。
光顕的診断としてPO陰性の例を提示しました。骨髄に浸潤した細胞は末梢血にも出現しているようですので形態の特徴を捉え、そして増殖スピードによる悪性の程度も考えてみてください。
AとBは普通染色で左右同一標本ですが何かが異なるようです。その異なる所見を述べてください。
臨床および検査所見と末梢血・骨髄像より疾患を考え、本疾患の臨床分類から悪性度の程度を述べてください。
【所見】
【40歳代.男性】 右頸部リンパ節腫脹
WBC41,200/μL、RBC312万/μL、Hb11.5g/dL、Ht29.4%、PLT5.1万/μL、
血液像(Ly.60%)、骨髄NCC15.2/μL(Ly.72%)、PO染色・PAS染色・EST染色(陰性)
PB-MG×1000
BM-MG×1000
問題 1
(正解と解説)
A.普通染色に発生した染色性の設問です。
B.普通染色における単染色と二重染色の違いについての設問です。
【正解】
A.は、染色性によって診断が異なった同一標本です。
B.は骨髄で顆粒球系の成熟過程に多めの顆粒がみられた像です。臨床診断は不明です。
【解説】
問題 2
(正解と解説)
40歳代.男性で、右頸部リンパ節腫脹、白血球増加、血小板減少がみられ、末梢血にリンパ球の増加(24,720/µL)と骨髄にもリンパ球の増加(72%)がみられた例です。
【正解】
④.濾胞性リンパ腫
【正解と解説】
(PB-MG ×1000)
(BM-MG ×1000)
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