第50回 「マンスリー形態マガジン」 2015年6月号

『 小石原焼き陶器市東峰見聞録 』

前 略

5月の連休3日~5日に「民陶むら祭りイベント」として福岡県朝倉郡東峰(とうほう)村にある小石原焼(こいしわらやき)陶器市が開催され、あいにくの雨にも拘わらず3日に私は知人と初めて訪れました。今年の陶器市は、有田についで2回目となり、これからの年中行事になりそうです。
小石原焼は地元で採れる陶土を原料とした陶器で、日用雑器としての道程を経て“用の美”を確立した焼き物です。ちなみに有田焼きは陶石とよばれる石が原料になり陶磁器とよばれます。
小石原焼は、1682年、福岡藩3代藩主黒田光之が伊万里から陶工を招いて窯場を開いたのが始まりで、刷毛目、飛び鉋、櫛描き、指描き、流し掛け、打ち掛けなどによって表現される独特の幾何学的な文様が特色で、素焼きを行わず、釉薬を流し掛ける方法で、後にその技法は大分県日田市の小鹿田焼(おんたやき)に伝わり、小鹿田焼とは姉妹関係にあるようです。
ここ東峰村に開催されることで、マルコポーロの「東方見聞録」をもじって“東見聞録”とうたっているようです。ここでは“用の美”を確立した小石原焼と“綺麗さび”と表現される遠州七窯の風格を伝える高取焼の二つの陶器の流れをくむ約60の窯元が立ち並びます。
伝統技法を受け継ぎながらも、新たな作風への挑戦は、約350年のときを超えて生活のなかで使われる陶器を作り続けていることになります。
きらびやかな有田焼を“献上品”とすれば、小石原焼はまさに“生活品”そのものになりますが、実にしっとり感を味わえる魅力があるようです。
この季節、目に優しい新緑をバックに皆さまも地元の窯元に目の保養に出かけませんか。

(資料:東峰村観光情報サイト)

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 

値切って獲得した小石原焼です
値切って獲得した小石原焼です(2015.5.3)



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今回のねらい

今回も末梢血液像および骨髄像の細胞同定に挑みます。
骨髄には静脈洞との間に関所のような働きをする血液骨髄関門(小孔)があり、幼若細胞は骨髄内にとどまり、成熟した血球のみが小孔を通過して末梢血液に流れ天命を全うすることになります。
従って、幼若細胞や赤芽球などが末梢血に出現していることは、骨髄に異常反応が起こった証拠で、癌細胞の骨髄転移や白血病細胞の増殖などにより小孔にトラブルが発生していることが予測されます。これを白赤芽球症といいます。
このように骨髄と静脈洞は隣り合わせのため、骨髄穿刺における骨髄液採取には末梢血の混入を考慮して検査を進めることになります。

問題

末梢血液像の細胞同定をリストより選択して下さい。

1-1<設問1> 選択

  • PB-MG×1000

1-2<設問1> 選択

  • PB-MG×1000

骨髄像の細胞同定をリストより選択して下さい。

2-1<設問1> 選択

  • BM-MG×1000

2-2<設問1> 選択

  • BM-MG×1000

解答・解説

問題 1

(正解と解説)
末梢血液像の細胞同定です。ここでは、リンパ球と単球の鑑別と顆粒球(好中性)の分化・成熟過程における鑑別です。幼若顆粒球は通常末梢血には出現しませんが、骨髄のバリア(小孔)に破綻を来たし出現したものと思われます。本例はCMLの例です。

【正解】

(CASE A) 1-⑨.単球、2-⑥.分葉核球、3-⑧.リンパ球
(CASE B) 1-⑤.桿状核球、2-②.前骨髄球、3-③.骨髄球、4-③.骨髄球、5-④.後骨髄球、6-⑤.桿状核球

【解説】

(PB-MG×1000)
(CASE A)
2.の分葉核球は5~6分節を有し過分葉気味のようです。1.は好中球に比べ大きく18μm大で、核形は不整、核網工は繊細で灰青色の細胞質に微細なアズール顆粒を認めることより単球に同定しました。3.は好中球大で、N/C比はやや高く、核網工は粗剛で淡青色の細胞質よりリンパ球に同定しました。
(PB-MG×1000)
(CASE B)
同系の細胞の鑑別は、血球の成熟に伴う一般的原則(Diggsら.1956)に従い同定することになります。すなわち、幼若から成熟につれ、細胞は大型から小型になり、核網工は繊細から粗に、核小体は明瞭から消失へ、核形は円形から固有の形状に、細胞質は好塩基性から好酸性に、顆粒は一次顆粒から二次顆粒へと変化します。これらの所見を重視しながら観察すると、2→3・4→5→1・6の順に成熟度が増すことで上記のように同定しました。
2.と3・4.の鑑別として、2.は大型で核は類円形、ゴルジ野の発達で核は偏在し、弱い好塩基性の細胞質に少数ながら一次顆粒(アズール)を有する前骨髄球、3・4.は小型になり核はほぼ円形、好酸性の細胞質に二次顆粒を有する骨髄球、5.はさらに小型になり核は陥没の楕円状の後骨髄球、1.と2.は最も成熟傾向がうかがえ、核にくびれがないものとして桿状核球に同定しました。



問題 2

(正解と解説)
骨髄像の細胞同定です。末梢血と同様に顆粒球(好中性)の分化・成熟過程における鑑別と幼若好酸球を提示しました。

【正解】

(CASE A) 1-②.前骨髄球、2-⑤.桿状核球、3-③.骨髄球、4-④.後骨髄球、5-⑥.分葉核球
6-④.後骨髄球、7-②.前骨髄球、8-⑧.リンパ球

(CASE B) 1-③.骨髄球、2-⑪.幼若好酸球

【解説】

(BM-MG×1000)
(CASE A)
先述したように顆粒球の成熟に伴う一般的原則に従うと、1→7→3→4・6→5の順になるようです。1.は20μm大の大型でゴルジ野の発達にアズール顆粒が豊富な前骨髄球です。
3.と7.は類似しており、両者ともに大きさは同等ですが周囲の赤血球に重なっているため、本来の大きさより小さくなっているようです。ただ核網工は3.がやや粗剛で7.はやや繊細のようで、しかも7.は細胞質に弱いながらも好塩基性がみられることより、7.は前骨髄球に、3.は骨髄球に同定しました。4.と6.は核の陥没が出始めていることより後骨髄球に同定しました。
5.は分葉核球で、8.は小型で核網工は粗剛よりリンパ球に同定しました。
(BM-MG×1000)
(CASE B)
両者とも幼若顆粒球に相違ないのですが、細胞質の顆粒の色調と大きさは異なるようです。
1.は前骨髄球に類似しますが、細胞の大きさは小型になり、核網工は粗剛で、顆粒は少し多いようですが小型化し、細胞質の好塩基性も薄れていることより好中性の骨髄球に同定しました。
一方、2.は細胞の大きさが1.より大型で、細胞質の粗大顆粒は黒紫色を呈する好酸性顆粒として捉え幼若好酸球(前骨髄球?)に同定しました。好酸球の顆粒にはアルギニンやリジンを多く含む塩基性蛋白(major basic protein;MBP)がつまっており、それが酸性色素により強染されると言われます。骨髄に出現する幼若な好酸球ほどこのような色調をとるようです。



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