第48回 「マンスリー形態マガジン」 2015年4月号

『 “兄弟3人展”閉幕に感謝! 』

前 略

  夢にまでみた郷里での“兄弟3人展”は、2月22日(日)~3月21日(土)に大分県杵築市山香郵便局の美術室で開催され無事終了しました。
  期間中は多くの方々がお越し下さり励ましの言葉やお志を、また遠方より華麗なお花を沢山頂きありがとうございました。素人展にも拘わらずこんなにも沢山の暖かいお気持ちを頂きましたことに改めて感謝申し上げます。
  そして、ご推薦頂いた山香郵便局長さんには隅から隅までご配慮下さいましたことに厚くお礼申し上げます。
  長男(英旭)は南画を5点、次男(漣 連十郎)は油絵を7点、三男の私(麗旭)は美人画を19点展示致しました。
  長男は南画の師範をもち指導という立場、次男は県美展に4回当選するまでの腕前、私はというと全くの素人画法でしたので心配しておりましたが、美人画ということが珍しかったのか、少しは救われた感がありました。
  地元の新聞社からも取材を頂き“美人画のどこをみてもらいたいですか?”の問いに、特に毛先、顔の輪郭、目の描写などをあげ、何よりも着物の絵柄の難しさをお伝えしました。
記者さんからは、“親子展はあっても兄弟3人展は珍しい”とのことで、今回の企画は間違っていなかったと少し自負しております。そして何よりも“兄弟の固い絆” がさらに強くなったことを感じております。
  3人とも高齢ですが至って元気ですので、親から譲り受けた健康な身体に感謝しながらこれからも創作活動を続けていきたいと思っております。
  東北大震災(2011.3.11)から今年で4年を迎えましたが、震災の年の7月23日に開催が危ぶまれた東北地区血液研修会(仙台)が東北の皆様の強い要望によって開催された時、ご当地の皆様から“生きる強さ”を頂いたことが忘れられません。その時、“負けないで東北復興と創生に 願いを込めて”の文言を美人画に託し参加された150余名の皆様にお配りさせて頂いたことがあります。不幸にして2名の知人を亡くしましたが、それ以来、毎年元旦には3点ほどの美人画を描くように心がけています。
  犠牲者の皆様や亡き友を偲ぶとともにまだ不自由な生活を余儀なくされている皆様の復興を願って‥‥。

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 


大分合同新聞.2015.3.13
大分合同新聞.2015.3.13

長男の作品(南画)
長男の作品(南画)

次男の作品(油絵)
次男の作品(油絵)

私の作品(水彩画)
私の作品(水彩画)

展覧会場
展覧会場



著作権について

今回のねらい

今回は末梢血における先天性異常と貧血症、骨髄における形態診断に挑戦します。
末梢血では、白血球の形態異常として稀な先天性異常を提示しました。
また、よく類似した赤血球の形態異常を呈する貧血症を提示しました。
骨髄では、PO染色陰性の急性白血病を提示しました。
これらのなかには特徴的な形態像を示すものもありますので、形態像から診断を進めながら、確定診断のための所見も考えてみて下さい。

問題

末梢血のA~DのMG染色から考えられる疾患をリストより選んで下さい。

1-1<設問1> 選択

  •  

  • PB-MG×1000

骨髄のA~DのMG染色から考えられる疾患をリストより選んで下さい。これらは、PO染色陰性の急性白血病ですが、確定診断への所見も考えて下さい。

2-1<設問1> 選択

  •  

  • BM-MG×1000

解答・解説

問題 1

(正解と解説)
先天性異常にみられる白血球の形態異常と類似した赤血球形態を呈する疾患です。

【正解】

(CASE A) ④.Chediak-Higashi異常症
(CASE B) ③.Jordan異常症 (CASE C) ⑧.鉄欠乏性貧血
(CASE D) ⑦.鉄芽球性貧血

【解説】

(CASE A)
本症は、顆粒球系細胞全般に脱顆粒と巨大顆粒を、リンパ球には封入体を認めることが特徴で、巨大顆粒は一次顆粒と二次顆粒が融合したものといわれ、チエデイアック東異常症にみられた形態異常です。先天性では常染色体劣性遺伝にみられる白血球の機能異常で、全組織細胞のリソソームにおける細胞質内運搬障害とされ、臨床的にはメラニン分布異常による部分的白子症が特徴で、機能的には顆粒球の遊走障害、脱顆粒障害を生じ、易感染性を呈し予後不良とされます。後天性ではMDSなどでみられますが、この場合好中球のみに同様な形態異常を認めることが多いようです。
(CASE B)
本症はリンパ球を除く白血球の細胞質に大型の空胞がみられることが特徴です。
本例もリンパ球(5時方向)を除く単球(左上)、好中球(左下)、好塩基球(右上)、好酸球(右下)に大型空胞がみられます。この空胞は、脂質蓄積による心筋炎や肝臓の脂肪変性などにみられ、ズダン(Sudan)Ⅲ染色に陽性を示すことより中性脂肪(トリグリセライド)とされ、ジョーダン(ジョルダン)異常症にみられた形態異常です。先天性では常染色体優性遺伝にみられます。
空胞は重症感染症などでもよくみられることで、形態のみでの鑑別は困難ですが、リンパ球を除くすべての白血球にみられることが診断に有効になるかも知れません。
何よりもアーテイファクトも考慮すると新鮮な血液を用いて検査することでしょう。
(CASE C)
本例は小球性低色素性貧血の例です。赤血球は小さいながらも円形や一部楕円状で、中央のくぼみ(淡明部.central pallor)が顕著な低色素性赤血球を認めます。
そのくぼみは1/3以上(正常は1/3以下)を示し菲薄赤血球として捉えます。
おそらく赤芽球の段階で小さくなることを運命づけられたものでヘモグロビン合成障害がうかがえます。赤血球指数ではMCVやMCHCの低下、血清鉄やフエリチンの減少、総鉄結合能の増加、不可染鉄の増加(Iron染色)などを確認した上で鉄欠乏性貧血を疑うことになります。
(PB-MG×1000)
(CASE D)
本例も小球性低色素性貧血の例です。低色素性赤血球(楕円・涙滴状)を中心に正常(正色素性)赤血球も混在してみられ二相性形成(dimorphic pattern)がうかがえます。二相性形成はヘモグロビン合成障害によって出現するもので、MCVやMCHCの低下、血清鉄やフエリチンの増加、総鉄結合能の減少、可染鉄の増加(環状鉄芽球)などを確認した上で鉄芽球性貧血を疑うことになります。
本症は、先天性としてビタミンB6の欠乏によるもの(ピリドキシン貧血)、後天性として骨髄異形成症候群(MDS)があります。従って、先天性を疑う場合はビタミンB6の検査は不可欠になります。



問題 2

(正解と解説)
ここに提示した急性白血病はいずれもPO染色に陰性のAMLです。CaseB.とD.は形態学的特徴を示すものと思われますが、CaseA.とC.は悩ませる例かも知れません。

【正解】

(CASE A) ②.M0(最未分化型急性白血病)
(CASE B) ⑦.M5a(低分化型急性単球性白血病)
(CASE C) ⑧.M6b(未分化型赤白血病)
(CASE D) ⑨.M7(急性巨核球性白血病)

【解説】

(CASE A)
まず芽球に顆粒がないこととアウエル小体を認めないことになります。鑑別を要する典型的なリンパ芽球に比べると、細胞質は広く、何よりも核網工が繊細のことで骨髄芽球を思わせます。
特殊染色では酸ホスファターゼ染色のみが陽性になりますが決め手に欠きます。診断には骨髄系(顆粒球系)のマーカーの発現に幹細胞レベルとしてのCD34が発現します。
(CASE B)
芽球は大型で、N/C比は低く、核はほぼ円形状で、核網工はやや繊細、明瞭な核小体を認め、中等度の好塩基性の細胞質を認めます。この形態は単球系を示唆するものであり、なかでも低分化型としての単芽球を思わせます。非特異的エステラーゼ染色が強陽性でフッ化ナトリウムに阻害され単球系を証明することになります。
(CASE C)
芽球は大型で、N/C比は低く、核は類円形状で、核網工はやや繊細ですが、黒い部分はクロマチンの集塊なのか核小体なのか不明です。強度の好塩基性の細胞質には空胞を認めます。
DLBCLやバーキットリンパ腫などを疑いますが、大型、核の形状、核質の繊細さなどから合致しないようです。強度の好塩基性の細胞質は豊富なRNAを含んでいることを考えると、未熟型赤芽球を疑いたいところです。赤芽球のマーカーとしてグリコフオリンAの他に、未熟型としてcarbonicanhydrase1、Gero抗体やCD36の発現がみられるようです。
(BM-MG×1000)
(CASE D)
芽球は大小不同で、核網工は濃染状と淡染状で核小体を認めます。細胞質は水泡(bleb)や蕾(bud)の偽足状突起を認めます。このように二つの染色性を有する芽球は巨核球にみられるものでM7を強く疑います。マーカーは、CD7・CD13・CD33・CD36・CD41・CD61などの発現がみら、血小板系以外にT細胞の一部や骨髄系マーカーなどが陽性を示すことが多いようです。



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