第43回 「マンスリー形態マガジン」 2014年11月号

「るろうに剣心」~伝説の最期編~

前 略

  待ちに待った「るろうに剣心」京都大火編と伝説の最期編の二作がやって参りました!
昨年公開された第一作の明治剣客浪漫譚(監督:大友啓史)に次ぐものでいよいよ最後編となり 大ファンとしては寂しいものの、8月、9月の公開とともに劇場に足を運びました。第一作は本ホームページにも触れましたが、今回はさらに腕を上げた緋村剣心こと佐藤健くんの太刀裁きにはシビレルほどで、“不殺(ころさず)“の剣を振るう剣心と“弱肉強食“の剣を振るう志々雄真実(藤原竜也さん)が、己の全てをその刃にのせて斬り結ぶアクション、まさしく “最強と最凶“の戦いは必見です。総制作費30億(興収100億?)、スタッフ千人と言われるスケールの大きさも魅力的です。今回もNHK大河ドラマ「竜馬伝」(監督:大友啓史)のキャストが出演しており、最後の切り札として福山雅治さんが剣心の師匠として友情出演したことが“実に面白い”(笑)。
  ~幕末の動乱に揺れる京都に名を轟かせる暗殺者、その名を緋村剣心といい、その神速の剣技と驚異の暗殺成功率から“人斬り抜刀斎”として幕府要人や佐幕派武士を震撼させていた。10年の歳月がながれ、時は明治11年頃、剣心は人をあやめることは避け“不殺(ころさず)の誓い”を立て、自前の刀を“逆刃刀”に変え、弱き人々を守る流浪人(るろうに)として過ごしていた。 逆刃刀とは、刃と峰が逆になっているので人を殺めることはなく峰打ちとなる。
しかし、剣心の後継者として「影の人斬り役」を引き継いだ志々雄真実が、自身に大火傷を負わせた明治政府への復讐として京都大火を企てていることを知った剣心は、逆刃刀を手に持ち単身で志々雄のいる京都に向かい壮絶な戦いが始まる~
  説によると緋村剣心は、1849年6月20日(嘉永2年5月1日)生まれ、身長158cm、体重48kgの小柄だったそうです。さて、チャンバラの後継者として、これからは剣心と官兵衛(岡田准一くん)に期待したいところです。

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 


絵灯ろう館画伯作を模写した私、阿南麗旭の作品(2014.1.1)
絵灯ろう館画伯作を模写した
私、阿南麗旭の作品(2014.1.1)



著作権について

今回のねらい

今回は末梢血の細胞同定と症例を提示しました。
末梢血に幼若細胞が出現することは前回にも触れましたが、血球の分化・成熟過程に異常が起こると異形成を有する細胞が出現します。
それは、薬剤によっても起こりますので常に注意しておく必要があります。
疾患では特徴ある末梢血における赤血球の形態や骨髄における赤芽球の形態、また特殊染色に注目してみました。

問題

CASE A,Bにおける末梢血液像の細胞同定をリストより選択してください。

1-1CASE A

  • PB-MG×1000

1-2CASE B

  • PB-MG×1000

末梢血・骨髄像から考えられる疾患をリストより選択してください。

2-1末梢血・骨髄像から考えられる疾患をリストより選択してください。

10-15歳.女性 主訴:顔色不良
WBC4,100/μL,RBC318万/μL,Hb5.0g/dL、Ht17.1%,PLT39.4万/μL
BM-NCC13.5万/μL(Blastoid cell 1%)

  • PB-MG ×1000

  • BM-MG ×400

  • BM-MG ×1000

  • BM-Fe ×1000

解答・解説

  • ( PB-MG ×1000 )Case1

    ( PB-MG ×1000 )CaseB
  • (正解と解説)
    【正解】

    (CASE A) 1,2,3,4,5-⑩.偽ペルゲル核異常
    (CASE B) 1-⑤.分葉核球、2と3-⑦.単球
    4-①.前骨髄球、5-⑤.分葉核球

    【解説】

    (CASE A)
    5個の細胞は全て偽ペルゲル核異常になります。
    そのなかで、1.と5.は細胞質の顆粒が好酸性であることより、好酸球の偽ペルゲル核異常に同定しました。2.3.4.はクロマチンの結節が強度の好中球の偽ペルゲル核異常に同定しましたが低(脱)顆粒も伴っています。双方とも成熟障害のために核の分葉がうまくいかない形態異常として捉えます。正式には偽ペルゲル・ヒュエット異常(pseudo Pelger-Huet anomaly)といいます。
    好中球の偽ペルゲル核異常はMDSの診断には不可欠な所見として有効になりますが、それは好酸球や好塩基球にもみられます。末梢血の分類では、正常の好中球に分類するのではなく、一括して“other”に入れて“コメント”を付記することが望ましいと思われます。
    (CASE B)
    1.と5.は分葉核球で問題ないと思います。2.3は16μm大で核分葉がみられ、クロマチンは繊細で、灰青色の細胞質には微細顆粒や空胞を有することより単球に同定しました。
    4.は18μm大で核は偏在し、クロマチンは粗網状で、弱いながらも好塩基性の細胞質には粗大なアズール顆粒を認めることより前骨髄球に同定しました。3.と4.に挟まれた細胞は一見裸核状、クロマチンは結節状で好中球を思わせますが、残存する細胞質は灰青色のようで合致しません。
    核を優先すると二核の好中球になるのでしょうか?



  • ( PB-MG ×1000 )
    ( BM-MG ×400 )
    ( BM-MG ×1000 ) ( BM-Fe ×1000 )
  • (正解と解説)
    【正解】

     ④.鉄欠乏性貧血

    【解説】 

    検査データより末梢血では貧血と血小板増加が目につき、骨髄は正形成で芽球は基準範囲内のようです。貧血の分類では、MCVが53.7fL、MCH15.8pg、MCHC29.2%になり、小球性低色素性貧血の範疇にあるようです。しかもかなりの重症度が疑われ、それは末梢血の赤血球形態異常にもつながっているようです。すなわち、菲薄赤血球(leptocyte)が優位のなか奇形赤血球の混在が大きなポイントになります。菲薄赤血球の出現は体内のフエリチン(貯蔵鉄)の減少につながり、その減少が重度になると奇形赤血球の出現が多くなるようです。従って、赤血球の形態異常の状況をみながら血清フエリチン値を測定することが有効になります。その前に、血清鉄や総鉄結合能(TIBC)や不飽和鉄結合能(UIBC)の測定も行い血清鉄の低値、総鉄結合能の高値を検索しておきます。血小板の増加は、重度の貧血によりエリスロポエチンが働き、それは血小板にも刺激を与えることで反応性に増加したものと思われます。末梢血の所見ならびに生化学検査により鉄欠乏性貧血を疑うことになります。
    骨髄検査では、M/E比が0.8と赤芽球が優位のなか、ヘモグロビン合成異常(特にヘム)により赤芽球の細胞質に発育障害が起こり狭小化が起こることが特徴です。鉄染色で赤芽球には含有鉄がみられず、これは血清鉄の低値を示唆しているものと思われます。骨髄でも鉄欠乏性貧血を疑う所見のようです。結局、血清鉄8μg/dL(80-170μg)、総鉄結合能460μg/dL(290-390)、血清フエリチン3ng/dL(男30-400,女15-150)の結果でした。本例は過剰のストレスにより食事摂取もままならず発生した鉄欠乏性貧血と診断されました。



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