前 略
前回の東北三大まつりの一つ「秋田竿燈まつり」に続き小京都湯沢の夏まつり「七夕絵どうろうまつり」について紹介します。この祭りは約300年の歴史があるそうです。
昨年の6月に秋田で東北地区の血液検査部門研修会が開催された時、宿泊先のホテルの廊下に飾られた華麗な美人画のルーツを辿って秋田の湯沢を訪ねました。元々美人画を描く趣味がありましたものですから知人の紹介でそのルーツとなる湯沢の「絵どうろうまつり」に参加してきました。
秋田の湯沢、横手は豪雪地帯で有名で“かまくら祭り”はよく知られていますが、横手には作家の石坂洋次郎が高校の教師として13年間教員生活を送っていたそうで文化記念館もあります。
さて、湯沢は平安の歌人「小野小町」の生誕の地でもあり、その「小野小町」を偲ぶ「小町まつり」と言われ、また、1702年(元禄15年)佐竹南家七代義安公に京都の公家から姫君がお輿入れされたことで、姫君の郷愁の想いを慰めるため5色の短冊を飾ったのが始まりとも言われます。優雅な美人画を描いた大小数百の絵どうろうに明かりが灯されると、あたりは幻想的な雰囲気に包まれます。夏の夜に燈す「七夕絵どうろうまつり」は魅力的です。
会場となる商店街には小学生から絵師の作品が展示され、絵師の多くは仕事をもちながら半年かけて数点の作品を作製するらしいです。豆絵師のなかには将来絵師を希望している学生も多くここにも後継者が育っていることは頼もしい限りです。
私の好きな絵師は“絵灯ろう館画伯”です。繊細なタッチで描かれた容貌はとても癒されます。
“動”の祭りもよいですが“静”の祭りも如何でしょうか。
(参考:秋田市竿燈まつり実行委員会資料)
草々
形態マガジン号キャプテン 阿南 建一
今回は末梢血の細胞同定と症例を提示しました。
末梢血に幼若細胞が出現することがありますので、血球の分化過程は熟知しておくことは必要です。
疾患では特徴ある形態像を提示しました。芽球としての認識と形状そしてPO染色、EST染色の所見を参考にして病型を考えてみて下さい。
CASE A,Bにおける末梢血液像の細胞同定をリストより選択してください。
PB-MG×1000
PB-MG×1000
骨髄像から考えられる病型をリストより選択してください。
15-20歳.女性 主訴:発熱・倦怠感
WBC6,100/μL,Hb11.7g/dL,PLT18.7万/μL,MCV99.7fL
BM-NCC14.6万/μL(Blastoid cell 95%)
BM-MG ×400
BM-MG ×1000
BM-PO ×1000
BM-EST二重 ×400
(CASE A) 1-③.骨髄球、2-②.前骨髄球、3-③.骨髄球
4-⑤.桿状核球、5-⑧.好塩基球
(CASE B) 1-⑩.異型リンパ球、2-⑩.異型リンパ球
3-⑪.リンパ球
(CASE A)
1.2.3.は類似する細胞です。1.と3.に比べると、2.は大きさが18μm大と大きく、クロマチン網工はやや繊細で6時方向には核小体がみられ、細胞質は弱いながらも好塩基性で、少数ながらアズール顆粒を認めることより前骨髄球に同定しました。それに対して1.と3.の核は類円形で、クロマチン網工はやや粗剛で好酸性の細胞質に小さな二次顆粒を有することより骨髄球に同定しました。4.は核の湾曲とクロマチンの結節が一部みられることより桿状核球に同定しました。
5.は14μm大で核縁が不鮮明、細胞質には紫赤色の好塩基性の顆粒を有することより好塩基球に同定しました。好塩基球はもともと水溶性の性質より、染色の工程で顆粒が抜けることが多く、抜けたあとは空胞が観察ポイントになります。
(CASE B)
1.と2.は18~20μm大の同じような形状を呈しています。1.の方に一部アズール顆粒を認めます。
双方ともにN/C比は低く、核形不整は軽度、クロマチン網工は粗剛で、細胞質の好塩基性は強いことより異型リンパ球に同定しました。本細胞においてはアズール顆粒は稀にみられます。
3.も同様に異型リンパ球系と思われますが、異型リンパ球の大きさの基準が16μm以上とされますので、分類上はリンパ球の範疇になる可能性が高くなります。
色調の判定には個人差があるため、再現性や相関を高めるには大きさの基準で踏み切ることも必要になります。
④.APL-M3(微細顆粒型)
【解説】本例は白血球が正常(6,100/μL)で血小板は正常(18.7万/μL)です。
しかし、骨髄で芽球様細胞が95%も増加しているようです。芽球様細胞は23μm大で、N/C比は高く、核形不整は顕著で、細胞質には小型のアズール顆粒を認めます。核形不整は亜鈴状核を思わせます。全視野を探すなかでフアゴット状のアウエル小体を認めました。ちなみに末梢血には僅か2%の出現でした。
これらの芽球様細胞はPO染色に陽性で一部にはベタッとした陽性を呈するものも見受けられ、EST二重染色ではクロロアセテートにのみ強陽性のようでした。
形態学的に顆粒が少ないことから単球系も思わせますが、PO染色が強度であること、EST二重染色でブチレートに陰性であることからそれは除外されます。
従って、急性前骨髄球性白血病(APL)の微細顆粒型を疑うことになり、マーカーでHLA-DRの陰性、15;17転座/PML-RARA遺伝子変異の結果を待つことになります。
結局、マーカーでCD33強陽性・HLA-DR陰性そしてt(15;17)(q22;q12)/PML-RARA遺伝子変異を認めたことよりAPL-M3の微細顆粒型と診断されました。
本型は、増殖の速度が速いことや白血球の著増例が多くみられますが、白血球数については本例は非典型例であるかと思われます。
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