前 略
拙宅を構えて6年になりますが、独り住まいの私にとってとても癒やされているのが飼魚達です。10匹のめだか、3匹の金魚(フナ)、20匹の熱帯魚(ネオンテトラ)で、3つの水槽を所狭しと元気に泳いでいます。
先住者はメダカくんです。メダカの命は3年ほどと申しますので、今生存しているのは我が家で孵化し親のDNAを引き継いだヒメダカと黒メダカくん達です。
メダカの産卵は5月~8月といわれ、今は水草(ホテイソウ)に産み付けた卵を別の水槽に移しかえながら孵化させています。すでに2cmくらいの子メダカが珍しそうにあたりをうかがっています。
他にメダカと熱帯魚に愛称がよく、掃除屋のエビちゃんを5匹ずつ入れておりますが、まったく心配なく仲良く過ごしているようです。ただ、このエビちゃん、結構衣装替え(脱皮)するんですね。そのぬけ殻の掃除屋は家主の私になります。
一方、ネオンテトラくんは、蛍光色に赤、青色ラインを鮮やかに醸し出していますが、最近は少々太り気味で生活習慣病を心配しております。
金魚A,B,Cくんは見事に成長し、日頃はおとなしく横に一列縦隊(インデアンファイル)に並んでいますが、家主をみつけるや否や餌を求め縦に向きを変え、その勢いは凄まじく、まるでピラニア軍団に豹変します。オー‥コワッ!!!
でも、家主にとって“癒し効果“ になっております。
草々
形態マガジン号キャプテン 阿南 建一
豹変まえの金魚A・B・C達!
今回は骨髄像における細胞同定について2例を提示しました。
1例は通常の細胞同定です。
もう1例は“赤芽球島” を提示しましたが、この現象は形態にロマンを感じるシーンでもあります。
そこで、皆さんの想像力を活かし、この現象を番号順に追って物語風にストーリーを完成させてみて下さい。
これは初めての試みですが、日常、鏡検する上で想像力を活かすことも重要と思われますので挑戦してみました。
骨髄の細胞同定を行なって下さい。
BM-MG×1000
BM-MG×1000
骨髄像でみられた「赤芽球島」ですが、6コマの画像から物語風にストーリーを創作してみて下さい。テーマは赤芽球“島物語”です。
BM-MG ×600
BM-MG ×600
BM-MG ×600
BM-MG ×600
BM-MG ×600
BM-MG ×600
(CASE A) 1-⑦.単球、2-⑤.分葉核球、3-④.桿状核球
(CASE B) 1-③.後骨髄球、2-①.前骨髄球、3-⑥.リンパ球
4-②.骨髄球、5-⑤.分葉核球、6-⑦.単球
(CASE A)
1と3は形状は似ていますが、大きさは1が大きく(17μm大)、核網工は繊細で細胞質は灰青色に微細顆粒そして空胞を認めることより単球に同定しました。
3は後骨髄球にも似ていますが、赤血球に押されてみえるも、大きさ(13μm大)は2と同じのようで、核に湾入がみられ、二次顆粒を有することより桿状核球に同定しました。
2は核にくびれがみられ二次顆粒を有することより分葉核球に同定しました。
(CASE B)
全般に赤血球に押されて本来の大きさより縮小気味で同定の箇所としては不適になります。
顆粒球系細胞は顆粒が減少気味のようです。
同系の細胞から同定しますと、大きさから2が最も大きく(20μm大)核網工は顆粒状、核偏在性(ゴルジ野の発達)より前骨髄球に同定しました。4はほぼ円形核、核網工は粗顆粒状より骨髄球に同定しました。1は桿状核球より大きく、核網工は粗顆粒状、核の陥没より後骨髄球に同定しました。5は分葉核球に同定しました。
3は小型でN/C比は高く、核網工は粗剛よりリンパ球に同定しました。
6は核網工はリンパ球様ですが、それより大型で、核形不整(6時方向)と細胞質の右上の周辺には二重構造(矢印)もみられることより単球に同定しました。
ここでは皆さん方の予想図が正解です。オリジナルなストーリーが完成したでしょうか。
私の予想図を述べますが参考にとどめておいて下さい。
赤芽球島(erythroblastic island)とは、骨髄でマクロファージの周囲を赤芽球が取り囲んだ状態であり、その取り囲みについては諸説ありますが、1つはマクロファージが鉄を貪食しこれを赤芽球に供給しているという説や、赤芽球の脱核を手助けして脱核後の核の処理をしているという説などです。前者の赤芽球の鉄補給については、赤芽球にとってこれから赤血球へ成熟していく上で鉄は重要な要素であり、鉄を取り込んだマクロファージの周囲を赤芽球が取り囲むのも納得できます。後者は“親鳥がひな鳥を育てその巣立ちを見守っている”ようにも思え、このようなシーンを想像することは“形態にロマン”を感じる瞬間でもあります。
「赤芽球“島物語”」に関する画像6枚から筆者の創作ストーリーを紹介します。
①骨髄にマクロファージ(赤矢印)が登場する。②成熟した赤芽球が鉄を補給するため鉄を貪食したマクロファージを探しにやってきた。幼若赤芽球(前赤芽球)が邪魔になる。③ようやく目当てのマクロファージを探し当てたようである。さあ、囲め!④マクロファージを取り囲み早速、鉄を供給して“至福の時”を過ごす。⑤ところがマクロファージが突如豹変、本性の貪食能に取りかかったのである。うっかりしていたら食べられるぞ、さあ逃げろ!⑥赤芽球は一目散に退散していった。マクロファージ(赤印)には確かに白血球(青矢印)を完全に消化した像がうかがえる。
赤芽球としては“信用していた人に裏切られたような”結果になってしまいましたが、その間に鉄補給は十分に行えたものと思われます。
皆さんはどのような結末になりましたか。細胞を鏡検する時は細胞同定をしっかりすることはもちろん重要なことですが、“血液細胞に馴染む”ためにはこのようにストーリー仕立ての想像力によって形態を考えることも必要かも知れませんね。
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