第20回 「マンスリー形態マガジン」 2012年12月号

『 我が家の再生医療 』

前 略

  この7月九州北部での集中豪雨は、柳川市や八女市などに大きな被害をもたらしました。普段は、市民の憩いの場でもある河川敷の変わり果てた様相から自然の脅威を感じるばかりでした。また、9月に九州北部を直撃した台風16号の被害は少なかったようでしたが、玄海灘に近い拙宅はかなりの強風にさらされました。
  さて、昨年コラムで紹介しました我が家の皇帝ダリアは、今年も順調に成長していましたが台風16号の影響で1本は中央の幹から折れ、もう1本は根元が抜けてしまいました。可哀そうでしたので、すぐに庭師の方にお願いして、しっかり接木して固定してもらいました。そのかいもあり、一週間後には根元は見事に生着し、折れた部分からは、何と新芽が出てきて元気に成長しております。二本とも見事に再生し、支柱となる1本は4m位に成長し、今では鮮やかなピンク色を醸し出してくれています。
  植物の力強い息吹きを感じることができ、医療においても話題のiPS細胞やES細胞などが1日も早い臨床応用が可能となり、将来の再生医療につながることを願いたいものです。

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 

皇帝ダリア
我が家の皇帝ダリア



著作権について

問題

CASE 1 ~ 4の細胞像を確認頂き、1 ~ 5の細胞同定を行ってください。

1-1CASE 1

  • BM-MG×1000

1-2CASE 2

  • BM-MG×1000

1-3CASE 3

  • BM-MG×1000

1-4CASE 4

  • BM-MG×1000

解答・解説

  • (BM-MG×1000)Case1
    case1
  • (正解と解説)
    【正解】  1. 細網細胞、またはフエラタ細胞  2. 前骨髄球
    【解説】 
    1.は一見前骨髄球にみえますが核網は粗網状で、細胞質は広く不規則性です。顆粒はじゅず球のように連なり流れているようです。好中性顆粒とは思いますが、核網と豊富な細胞質から血液細胞というよりも網内系の細網細胞を思わせます。2.は典型的な前骨髄球ですので、それに比べると大きさや形態は異なります。その昔、Ferrataが未熟な顆粒球を“フエラタ細胞”と命名したようですが、今日ではこの名称は使用されていないようです。



  • (BM-MG×1000)Case2
    case2
  • (正解と解説)
    【正解】 3. 青藍組織球
    【解説】 
    骨髄にみられる大型細胞で核は偏在し、広い細胞質には大小不同の真青色の斑点をちりばめたようにみえます。網内系の細胞が脂質を処理できないために、真青色の封入体をつくるといわれ、1970年代 肝・脾腫の患者で検出された報告があります。この斑点はSudan black B染色やPAS染色に染まります。慢性骨髄性白血病などでも稀にみられます。



  • (BM-MG×1000)Case3
    case2
  • (正解と解説)
    【正解】 4. 造骨細胞
    【解説】 
    骨髄にみられる大型細胞で、核は偏在性で細胞質から今にも飛び出ようとしています。広い細胞質は好塩基性ですが、明色庭(clear zone)は核より離れたところにみられます。空胞もみられ形質細胞に類似しますが、核や明色庭の位置が異なります。



  • (BM-MG×1000)Case4
    case2
  • (正解と解説)
    【正解】 5. 形質細胞
    【解説】 
    骨髄にみられる形質細胞ですが、核は偏在性で好塩基性の細胞質にしっかり収まっています。明色庭(clear zone)は核を取り巻くようにみられ、空胞がみられることも特徴であり、造骨細胞とは異なります。



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