第164回「南の棟方志功、ボクネンさん」2025年2月号

今月のコラム:南の棟方志功、ボクネンさん

沖縄の北谷町(ちゃたんちょう)美浜にある「ボクネン美術館」が、2024年6月に沖縄市のプラザハウス3Fの「ボクネンアートギャラリー」に移転しました。ボクネンさんこと名嘉睦念(なかぼくねん)さんは沖縄、日本を代表する木版画家です。今年の1月、ボクネンさんのアートについて沖縄の知人から紹介を受けました。その際に作品の絵葉書を送っていただき、“沖縄の眩しい日差しに負けない鮮やかな色合い”は光溢れる南島の海、空、生き物たちの世界を私に感じさせてくれました。その後、別の知人からは全国一番早い本部町の八重桜の情報とボクネンさんの「アートギャラリー作品」の写真をいただきました。こうしてボクネンさんのファンになった私ですが、改めてボクネンさんについて調べてみました。

ボクネンさんは、1953年生まれ。沖縄県の離島、伊是名村(いぜなそん)に生まれ、この地を遊び場として育ち、幼少の頃から絵画や工作に優れた少年だったそうです。工業高校のデザイン科を卒業後デザイン専門学校を経て、21歳時にデザインプロダクションに就職し、26歳時に友人とデザインプロダクション「プロジエクト・コア」を設立されました。30歳の頃に棟方志功(むなかたしこう;青森出身)氏の版画集に衝撃を受け、以来木版画の活動が始まります。37歳の頃には版画家“ボクネン” を世に知らしめ、木版画で裏手彩色という技法は棟方志功氏と同じ技法から“南の棟方志功”と呼ばれるまでに至りました。

ボクネンさんの作風は、作品全体を素材がうねり踊るように配置し、熱帯の色をちりばめるという奔放さにその特徴があり、「ボクネンアートギャラリー」のリニューアルオープンに際し、ボクネンさんは“絵を描く上ではまだ若造。気がついたら絵描きだったなという気持ち”とおっしゃっています。

琉球の原風景を今に残す沖縄、伊是名島で生まれ育った彼だからこそ作り上げることのできる作品は、私たちを光溢れる南島の海、空、生き物たちの世界に導いてくれます。昨年は予定していた沖縄行きが天候不良で中止になったため今年は是非とも沖縄に出かけ、ボクネンさんの作品に触れたいと思っています。

  • 「ボクネンアートギャラリー」の作品
    (許可を得て撮影したもの)
    撮影:津崎律子さん(2025.1.31)


  • 今年も全国一早い沖縄県本部町の八重桜が
    咲き乱れました。
    撮影:津崎律子さん(2025.1.31)



2025年1月号の問題.  下記のご質問をいただきましたがどのようにお答えしますか。

【Q】 鉄欠乏性貧血の血液像で、 楕円状の赤血球が多くみられるようですが、楕円赤血球として捉えるべきでしょうか。また、卵形赤血球と楕円赤血球の違いを教えていただきたいです。
【助言】 貧血の場合、赤血球の形態異常は一種類ではなく多様性に富むことが多いようです。
鉄欠乏性貧血(IDA)の軽症では円形の菲薄赤血球が主体となりますが、重症では体内のフェリチンやヘム鉄の減少に従い奇形を伴った菲薄赤血球の出現を経験します。
IDAでみられたという楕円状の赤血球は、低色素性を伴う菲薄赤血球が楕円状を呈したものと考えられます。
一般的に楕円赤血球は、輪郭が卵円形ないし棒状の赤血球を総称しており、中央淡明部も楕円形を呈します。こちらはIDAとは異なり正色素性または高色素性の傾向にあるようです。







    2025年2月号の問題.  
    下記のご質問をいただきましたがどのようにお答えしますか。

    【Q】 血球貪食細胞は標本中にどれくらい認めれば所見として報告した方がよいでしょうか。また、末梢血にも出現することはありますか。マクロファージの役割も教えてください。

    形態マガジン号キャプテン  阿南  建一

    MAPSS-DX-202502-9

    著作権について

    今回のねらい

    「細胞同定」については、今回からなるべく視野を広げて細胞の観察をしてみたいと思います。骨髄像の600倍を対象にしたいと思います。
    「ワンポイントアドバイス」は、鉄欠乏性貧血の赤血球形態の捉え方について解説します。

    問題

    問題1

    1-1骨髄像の細胞同定を行ってください。

    • BM-MG.600

    解答・解説

    問題 

    骨髄像の細胞同定を行ってください。

    【解説】

    1. 直径16µm大、核は桿状で細胞質の顆粒が橙紅色のことから好酸球にしました。
    2. 直径18µm大、核は桿状でクロマチンは結節状で細胞質の顆粒は小さく二次顆粒とみなし桿状核球にしました。
    3. 直径9µm大の小型、核は円形でクロマチンは濃縮状、細胞質は紫紅色のことから正染性赤芽球にしました。
    4. 直径24µm大、核は類円形でクロマチンは顆粒状、細胞質は好塩基性で粗大な暗紫紅色の顆粒をもつことから前骨髄球にしました。
    5. 直径20µm大、核は不整がみられクロマチンは繊細、細胞質の好塩基性は軽度で空胞を認めることから単球の幼若型にしました。
    6. 直径13µm大、核は桿状でクロマチンは粗剛、細胞質の顆粒は小さく二次顆粒とみなし桿状核球にしました。
    7. 直径21µm大、核は不整がみられクロマチンは繊細傾向、細胞質の好塩基性は軽度で空胞を認めることから単球の幼若型と思われます。
    8. 直径13µm大、核のクロマチンは掴めず細胞質も確認できないことから裸核にしました。
    9. 直径28µm大の大型、核は類円形で不整がみられクロマチンは繊細、細胞質は好塩基性が軽度で微細顆粒や空胞を認めることから単球の幼若型と思われます。
    10. 直径11µm大、細胞は委縮しクロマチンは濃縮状、細胞質は青紫色の多染性の色調がうかがえることから多染性赤芽球にしました。

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