2023年12月10日(日)、ハワイ・オアフ島で第51回ホノルルマラソン大会が開催されました。今大会に知人が参加してフルマラソンを完走したとの報告を受けましたので、今回題材としました。フルマラソン、10Kラン&ウオーク合わせ、2,9,836人(うち日本人9,545人)がエントリーされ、日本人ランナーは昨年の2倍に迫る人数であったそうです。ホノルルマラソンは制限時間がないため、家族や友人と一緒に参加しても楽しめることで多くのランナーを魅了する祭典です。1973年に始まり半世紀を超えてなお、愛され続ける世界最大級の市民マラソンの一つになっています。
フルマラソンは、アラモアナ公園前を午前5時にスタートした後、ワイキキビーチ、ダイヤモンドヘッドを経てハワイカイで折り返し、カピオラニ公園にフィニッシュするという壮大なシーサイドコースです。尚、今大会をサポートする旅行会社によっては、高橋尚子さん、野口みずきさんなどオリンピッランニングアドバイザーに迎えたイベント等があったそうです。
ここで知人の感想を紹介します。国内ですらフルマラソンの経験が無いにも関わらず初のフルマラソンがホノルルということで不安と緊張は隠せませんでしたが“百聞は一見に如かず” 、ホノルルマラソンは素晴らしいと感じました。ハワイならではの絶景や生演奏による声援が後押してくれてお昼頃にゴールしました。42.195kmはとても長い距離でしたがとても充実感を味わうことができ、チャンスがあればタイムにも挑戦してみたい気持ちです。ちなみに、今大会の応援サポート&ランナーを務めた小島よしおさんは5時間50分52秒で完走したそうです。
私はホノルルマラソンの経験はありませんので羨ましい限りです。素人ながら過去5回の国内フルマラソン大会に完走しておりますが、毎回35kmを超えたあたりから始まる自分との闘いを如何にしのげるかによってタイムは大きく変わります。最高タイムは4時間45分でしたが、タイム向上には無理のない練習計画に基づく走行の距離よりも本数の積み重ねが後押ししてくれるはずです。
はらはらドキドキ、午前5時のスタートです!
途中、虹のお出迎えに
ルンルン気分です。
ハワイ限定の「日焼けドラえもん」も
応援してます!
途中休憩、先はまだまだ長いぞ‥‥
(写真提供:H.Mさん.2023.12.10)
汗と涙の完走メダル
2023年12月号の問題. 下記のご質問をいただきましたがどのようにお答えしますか。
【Q1】 | 特殊染色をうまく染めるコツや練習方法などありましたら教えていただきたいです。 |
その前に、一般的なルールについて述べます。 | |
【意義・目的】 | 血液細胞内に含まれる物質は酵素と非酵素に大別され、それらを化学反応を利用して染色する方法を特殊染色(細胞化学染色)と称し特に造血器腫瘍の診断に不可欠となっています。一般に、酵素染色としてMPO染色・EST染色・NAP染色・ACP染色など、非酵素染色としてPAS染色・鉄染色・脂肪染色などが実施されています。 |
【染色の掟】 | 1984年、日本の岐阜(長良川)において国際血液学標準化委員会(ICSH)のメンバー(座長:柴田昭先生)11名が集結して酵素染色法の検討がなされました。会議では染色の条件として、①固定液は細胞構造および酵素活性を保持するもの、②反応試薬は発色性、限局性に最も優れたもの、③後染色は反応物質と良好なコントラスト、核構造の明瞭さに優れたものであること、またコスト・鋭敏性・利便性・普及性も考慮しているようです。 |
【対比染色】 | 酵素染色は、基質と発色剤(ジアゾニウム塩)のアゾ・カップリング法を堅持したものが最適な反応試薬とされ、陽性物質は後(核)染色によって鮮明に見えることが必要条件とされます。例えば、陽性物質が青色顆粒のものは核を赤く染め(サフラニンO液)、赤色顆粒のものは核を青く染める(ヘマトキシリン液)ことが良い染色法とされます。 |
【助言1】 | 現状は市販製品(キット法)が主流となっています。キット法は自家製法に比べ試薬の調整などが簡易であるため便利ですが、保存による試薬の変性は歪めなく、期待した染色性が得られなかった場合の原因追究ができないことがあります。この場合は代用となる手段をみつけておくことが大事です。そして各種染色がどの細胞に適応性があるのかを認識しておくことも必要不可欠です。 |
【助言2】 | 実際には各染色法のルールに従い染色を施し、染色性(陽性態度・陽性率)を判定します。まずは末梢血や骨髄の正常細胞の陽性態度を認識しておきます。症例の染色では末梢血の未染標本をコントロールとして同時に染色し、全ての染色に対し陽性反応を示す好中球を対照として目的細胞の染色態度(強陽性・弱陽性・陰性)を評価します。陽性物質には顆粒状、点状(塊状)、びまん性を呈することが多く、各染色法における染色態度を認識しておくことが大事です。また染色法によっては陽性率を求めることがあり、MPO染色のAML陽性芽球、NAP染色の好中球、Fe染色の環状鉄芽球などが相当します。 |
【助言3】 | キット法の注意点を述べます。MPO染色は、ベンチジン誘導体を用いた方法が感度が高いためDAB法を推奨します。PAS染色は、キット法より自家製法を推奨します。理由として、後染色に使用されるヘマトキシリン染色のみでは対比染色として不十分なため、筆者はヘマトキシリン染色後に飽和炭酸リチウムで処理することにより陽性色の鮮明度を高めております。鉄染色は、反応液(①2%フエロシアン化カリウム②2%HCL③1%サフラニンO)の混和順を間違うと染まらないので注意します。酵素染色の未染色標本の保存については、室温保存で酵素活性が失活しますので-40℃などで保存することをお薦めします。一方、PAS染色や鉄染色用の標本については酵素を染めるものではないので室温保存でも構わないと思われます。 |
2023年12月号の問題. 下記の2つのご質問をいただきましたがどのようにお答えしますか。
【Q1】 | M5の症例にて、EST染色が陽性でNaF阻害試験を行ったのですが陽性顆粒が僅かに残っているようにみえましたが阻害されていないと判定するのでしょうか。 |
【Q2】 | PAS染色はB細胞性ALLに点状陽性に染まり診断に有効と聞きましたが、MDSでは診断に有効となるポイントはありますか。 |
形態マガジン号キャプテン 阿南 建一
「細胞同定」については、骨髄像の同定に挑戦します。
紛らわしい細胞や鑑別を要する細胞を提示しましたので試みてください。
「ワンポイントアドバイス」は、特殊染色の染色工程における注意点について深堀りしてみたいと思います。
問題1
BM-MG.1000
BM-MG.1000
BM-MG.1000
BM-MG.1000
問題
骨髄像における細胞の大きさの判定は、好中球(約13μm大)や赤血球(約8μm大)を対照にすることが一般的ですが、正確に計測するには接眼レンズにセルメーターを装着して判定することです。
【解説】
A-1. 核はほぼ円形でクロマチンは粗剛、細胞質は淡青色のことからリンパ球としました。
A-2. 裸核様ですが核と細胞質の境を認め(赤矢印)、細胞質には赤紫色の粗大顆粒が充満していることから幼若好塩基球としました。
A-3. N/C比は高く、核は円形でクロマチンは凝集塊状、僅かな細胞質は青紫色(多染性)のようで多染性赤芽球(大型)と思われます。
A-4. 核は楕円形でクロマチンは粗剛、細胞質は橙黄色で小さな顆粒は二次顆粒とみなし骨髄球としました。
A-5. 核は楕円形でクロマチンはやや粗剛、細胞質は淡青色のことからリンパ球としました。核縁の僅かな不整から単球も考えられます。
B-1. 核は陥没まではなくクロマチンは粗剛、細胞質の好塩基性は薄れ小さな顆粒は二次顆粒とみなし骨髄球としました。陥没を選択すれば後骨髄球も考えられます。
B-2. 桿状の核は部分的にくびれクロマチンは結節状、細胞質の顆粒は減少気味の分葉核球としました。
B-3. 赤血球大、核は円形で濃染状、細胞質は不染部のなか橙紅色(正染性)のようで正染性赤芽球としました。
B-4. 直径12µm大、核は円形でクロマチンは凝集状、細胞質は青紫色(多染性)のことから多染性赤芽球としました。
B-5. 直径15µm大、核はほぼ円形でクロマチンは粗剛、細胞質は淡青色のことからリンパ球と思われます。
C-1. 核は円形でクロマチンは粗剛、僅かに細胞質がみられリンパ球と思われます。
C-2. 多染性赤芽球と思われ、核質は粗く崩壊に近いものかも知れません。
C-3. 核は3分葉で分葉核球に類似していますが、細胞質の小さな空胞は顆粒の溶出の跡がうかがえ好塩基球(成熟型)と思われます。
C-4. 核はほぼ円形でクロマチンは粗剛、細胞質の小さな顆粒は二次顆粒とみなし骨髄球としました。
C-5. 核質や細胞質の色調から多染性赤芽球と思われます。
D-1.2. 共に核の偏在とクロマチンの粗剛また細胞質の広さや空胞(1)から形質細胞(成熟型)と思われます。典型例に比べると好塩基性は薄れていて、D-2.は核形不整がみられます。
D-3. 核は円形で偏在しクロマチンは粗剛、細胞質は狭く橙黄色のことから骨髄球としました。
D-4. 核はほぼ円形で僅かに不整や核内にも切れ込み(赤矢印)がみられクロマチンは繊細気味、細胞質には微細顆粒や空胞を認めることから単球と思われます。
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