第14回 「マンスリー形態マガジン」 2012年6月号

『 三色旗作戦 』

前 略

  あの東日本大震災から1年が過ぎ、被災地では復興へと向かっているようですが、今回は「災害マニュアル」に登場した“三色旗作戦”をご紹介します。
  東日本を襲ったマグニチュード9.0の大地震は、宮城県の北部の亘理(わたり)町に震度6強の大きな揺れと7m以上の津波で大きな被害をもたらしました。震災後、倒壊した家屋や瓦礫(がれき)の撤去作業を自衛隊員たちが行なう中、亘理町災害対策本部は、赤、黄、緑色の旗を所有者に表示してもらう “三色旗作戦”を展開しました。
  この作戦で撤去作業が円滑に進み、環境省は初めての取り組みの中、家屋所有者の状況を確認できることとして高い評価がなされました。
  亘理町では、住宅約3,000棟が全半壊し、政府は所有者の承諾なしに瓦礫の撤去を自治体が行なうことを認めていましたが、亘理町災害対策本部では「勝手に撤去するのは忍びない」と所有者の承諾なしの作業にふみきれないでいたようでした。ここに事務的な処理を進めようとする政府の考えと被災者に配慮した地方自治体との隔たりを感じました。
  亘理町災害対策本部の取り組みは、所有者の意思確認がスムーズにできるように、建物や瓦礫を撤去する場合は「赤色の旗」、建物は残して瓦礫だけを撤去する場合は「黄色旗」、撤去作業を望まない場合は「緑色の旗」をそれぞれ表示してもらうことにしました。用意された旗は約6500本で、避難所などの被害者には約6100本が配布れたそうです。
  この新しい試みは、今後の「災害対策マニュアル」に導入されるものと確信しております。

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 


三色旗の意味
三色旗の意味

建物・がれきの撤去が表示された赤い旗(読売新聞.2011.4.6より)
建物・がれきの撤去が表示された赤い旗
(読売新聞.2011.4.6より)





著作権について

今回のねらい

今回は赤芽球の同定を行います。赤血球の分化・成熟過程は、前赤芽球→好塩基性赤芽球→多染性赤芽球→正染性赤芽球→網赤血球→赤血球です。これらの赤芽球の名称は細胞質の色調で命名されていることを覚えておきましょう。赤血球の分化・成熟の過程で細胞分裂能を有するのは多染性赤芽球までですが、それ以降は成熟するのみとなります。赤芽球は成熟の過程において核と細胞質にズレが発生することがあり、核の遅延現象(成熟乖離)と呼ばれています。成熟乖離現象で出現する赤芽球は巨赤芽球として同定することになり、上記の分化・成熟の過程をとり、巨赤血球へと成熟していきます。これは平均赤血球容積(MCV)を100fl以上に引き上げることになります。

問題

CASE 1 - 5 における 1 ~ 5 の細胞同定を行ってください。

1-1CASE 1

  • PB-MG.1000

1-2CASE 2

  • PB-MG.1000

1-3CASE 3

  • PB-MG.1000

1-4CASE 4

  • PB-MG.1000

1-5CASE 5

  • PB-MG.1000

解答・解説

  • Case1(BMM-G1000)
    case1
  • (正解と解説)
    【正解】 前骨髄球
    【解説】 
    細胞径は18μm大で、核は偏在し核小体を有し、弱い好塩基性の細胞質には粗大なアズール顆粒を認めます。核の偏在はゴルジ野の発達によるもので、粗大なアズール顆粒を有するため前骨髄球に同定しました。この顆粒は一次顆粒や非特異顆粒とも呼ばれ、ムコ多糖蛋白が旺盛なためにアズール顆粒を引きつけるといわれています。

 

 

  • Case2(BM-MG1000)
    case2
  • (正解と解説)
    【選択細胞】 骨髄球
    【解説】 
    細胞径は16μm大で、小型で核網は粗鋼 ですが、細胞質には好塩基性の名残りとして粗大な顆粒を認めることから1.の前骨髄 球と類似しています。しかし、細胞が小型で核網(クロマチン)が粗鋼であることは成熟傾向であり、大型な顆粒は中毒性顆粒(アズール顆粒といわれています)の出現と 解釈することが妥当と思われます。結局、周囲の細胞から判断することになりますが、顆粒球では顆粒が多かったり、少なかったりしますので、細胞の大きさや核所見を優先にして同定することをすすめます。

 

 

  • Case3(BM-MG1000)
    case3
  • (正解と解説)
    【選択細胞】 幼若好酸球
    【解説】 
    細胞径は23μm大の大型で、核の偏在と好酸性の大型顆粒を認めます。好酸性の顆粒から好酸球となりますが、大型で核の偏在は前骨髄球に相当するものと思われます。好酸性顆粒球の分類は骨髄球あたりから分類するようになりますので幼若好酸球として同定しました。

 

 

  • Case4(BM-MG1000)
    case4
  • (正解と解説)
    【選択細胞】 幼若好塩基球
    【解説】 
    細胞径は13μm大で好中球大です。好中球と比べ細胞質にやや粗大な顆粒と空胞(顆粒が抜けた状態)がみられることより好塩基球が推定され、核が円形であることから、この系列の幼若型と同定しました。

 

 

  • Case4(BM-MG1000)
    case4
  • (正解と解説)
    【選択細胞】 ペルゲル様好酸球
    【解説】 
    細胞径は16μm大で、細胞質の好酸性の顆粒により好酸性好中球と思われます。核は円形のため、幼若型と思われがちですが、細胞質の広さからみると小さいため成熟型と思われます。成熟型であれば核に分葉が起こるはずですが、円形であることは核の成熟に異変が生じたものと解釈してペルゲル核異常を呈した好酸球として同定しました。MDSでは好中球に次いでよくみられますので注意を払いましょう。

 



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