第13回 「マンスリー形態マガジン」 2012年5月号

『 ふじの山 』

前 略

  ♪あたまを雲の上に出し  四方の山を見おろして  かみなりさまを下にきく  ふじは日本ーの山♪
  皆さんも子供の頃によく唄われた富士山の唱歌です。私は子供の頃、富士山がどこにあってどんな山なのか、みんなで遠足でもできるのかな?とよく想像したものでした。
  標高3,776m国内最高峰の富士山は、まさしく日本の象徴でその優美な風貌は国内のみならず海外でも知られていることは周知のとおりです。私が富士山に触れるのは、絵画やフライトから観る雄姿でしたが、いつかあの山に登れたら· · · ·と思うようになっていました。
  60歳を迎える2007年9月静岡の知人夫妻の企画によってそれは実現しました。あいにく登頂前夜は雨男の私にふさわしい悪天候でしたが、当日は見事な快晴となり、絶好の登山日和になりました。早朝6時30分表富士宮口五合目(2,400m)を出発する強行軍の日帰りコースになりましたが、約6時間をかけて12時30分無事登頂に成功しました(通常では約4時間半くらいだそうです)。
  これまで、登山といえば九州の久住山(1,786m)などいくつか経験はありましたが、それは想像を絶する苦難の道程でした。8合目(3,460m)付近から頭痛に悩まされ、9合目(3,590m)を過ぎた頃にはさらに吐き気が加わり、いわゆる高山病との戦いを強いられたのです。登頂まで残り100mは5m進むのに10分を要する最悪の状態でしたが、知人に勇気づけられながらなんとかたどり着きました。山頂はあの優美な風貌とは全く異なり、噴火口を観ると改めて火山であるということを思い知らされました。また、気圧の関係でしょうか、顔は少々ムーンフェイスの状態でした。
  私の経験からですが、富士山登山はしっかりとした登山靴でリュックには着替えや食糧などを入れ、軽いものがよろしいようです。9月からは山頂の山小屋が閉鎖されますので登山計画には注意が必要です。また、途中隠れる場所や日陰はありませんので、日焼け対策は念入りにすることです。今回のような日帰りコースでは、蛇行戦術で身体をなじませながらゆっくりと時間をかけて登ることが大切です。もし体調が悪くなったら横臥するよりも早々に下山することをお勧めします。
  その後、拝観する”ふじの山”はとても身近に感じるようになり、話しかけたりしています。皆さんのなかで健脚に自信がある方はぜひ一度挑戦してみませんか。

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 




著作権について

今回のねらい

今回は末梢血、骨髄からの細胞同定を試みました。末梢血では、単球が分葉した場合の分葉核球との鑑別を提示し、水溶性の性質から細胞質の顆粒が抜けだして空胞化する好塩基球と重症感染などで細胞質に空胞がみられる好中球を提示しました。骨髄ではともに芽球から分化したばかりの前骨髄球と前単球の鑑別また、好酸性と好中性の幼若型細胞の鑑別に着眼してみました。
前骨髄球と前単球について以下の通り、鑑別のポイントを記述します。
【前骨髄球】
細胞径20μm大、①核偏在(ゴルジ野の発達) ②核形不整は少ない  ③核小体あり  
④アズール顆粒は大きく大小不同
【前単球】
細胞径22μm大、①核はほぼ中心性*  ②核形不整は顕著  ③核小体が明瞭(大きくて数も多い)  
④アズール顆粒は小さい
  (* ゴルジ野はみられるが核形不整などで隠れてしまい不明瞭となる)

問題

CASE 1 - 4 における 1 ~ 9 の細胞同定を行ってください。

1-1CASE 1

  • BM-MG×1000

1-2CASE 2

  • BM-MG×1000

1-3CASE 3

  • BM-MG×1000

1-4CASE 4

  • BM-MG×1000

解答・解説

  • Case1(BM-MG1000)
    case1
  • (正解と解説)
    【正解】 1.分葉核球  2.単球
    【解説】 
    細胞径は1.が13μm大、2.が16μm大で2.が大きく、双方ともに核に分葉がみられますが、2.は核網(クロマチン)が繊細で右縁には不整とうねり状を認め、細胞質にはくすんだ色調と空胞を有することから1.の分葉核の好中球に対して単球に同定しました。

 

 

  • Case2(BM-MG1000)
    case2
  • (正解と解説)
    【選択細胞】  3.分葉核球  4.好塩基球
    【解説】 
    細胞径はともに13μm大ですが、通常は3.の方が大きいようです。4.は細胞質に空胞を認め(水溶性のため)、黒紫色の顆粒が核の上にも存在することから好塩基球と同定しました。3.は空胞を認めますが、こちらは重症感染症などによって細胞質に変化がもたされた分葉核球と思われます。好中球の顆粒は二次顆粒または好中性顆粒ともいわれ、通常は細胞質のなかに存在し、核の上には見られることは少ないようです。

 

 

  • Case3(BM-MG1000)
    case3
  • (正解と解説)
    【選択細胞】  5.前単球  6.骨髄芽球  7.前骨髄球
    【解説】 
    6.の細胞は、細胞径が15μm大でN-C比も高いことより骨髄芽球と同定しました。5.と7.は20μm大で6.より大型であり、今回のねらいから両者は異なる細胞として5.を前単球、7.を前骨髄球と同定しました。

 

 

  • Case4(BM-MG1000)
    case4
  • (正解と解説)
    【選択細胞】  8.骨髄球  9.幼若好酸球
    【解説】 
    8.は細胞径が17μm大、9.が18μm大です。8.はCASE3.の前骨髄球に比べると細胞質の顆粒は小さく二次顆粒と思われ、核網は祖鋼になっているので骨髄球(好中球)に同定しました。9.は細胞質が塩基性で顆粒がほとんど見られませんが、本来ならば大型の好酸性顆粒を有しているはずの細胞と思われます。従って、9.は未熟または幼若好酸球として同定しました。(第11回のCASE-6.を参照下さい)

 



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