現在、全国で白物家電の売り上げが好調のようです。昨年からのコロナ渦の中、外出自粛による巣ごもり生活の中で生活の質を変えるためにそれぞれの家庭では家電製品の買替えが進んでいるそうです。
さて、1月号のコラムで紹介した宝満宮竈門(かまど)神社を参拝した際、参道の途中におしゃれなカフェ「cafe Si」を見つけ、早速を訪れてみました。お店に入ると、色とりどりのマグカップやトレーなどの生活用品と文房具がきれいに陳列されており、手に取ってみますとそれがシリコーン(ゴム)製であることに気付きました。気さくな店長さんにお話を伺ったところ、このカフェは、大宰府市のシリコーンメーカー(本社:福岡県久留米市)が運営し、シリコーン製の生活用品を展開するオリジナルブランド「SiNG」のショールームが併設されているそうです。「SiNG」では、シリコーンゴムに特化した製造メーカーだからできる和を意識した色調とマットな質感が合わさることで、これまでのシリコーン雑貨にない仕上がりを目指し、暮らしの中の幅広いシーンに取り入れやすい商品を提供しているそうです。素敵な彩りの商品には、“きり”、“かき”、“まつ”などのカラーバリエーションがあり、かち色(黒青色)となのはな色のコーヒーカップを早速購入しました。
ちなみにシリコーンは、20世紀初めイギリスで初めて合成され、その後、1934年にアメリカでシリコーン樹脂が発見され、耐熱絶縁体として軍用産業で利用されたそうです。シリコーン樹脂は、耐熱性、耐候性や電気絶縁性などに優れ、人体への毒性も小さいため、さまざまな産業分野で素材や部品として利用されています。その分野は多岐に渡り、電子部品、自動車部品、事務用機器、医療用具から一般家庭では食器、調理器具、台所用品、日用品、おもちゃなどがあります。
私は、今回購入したコーヒーカップで毎日のコーヒータイムを楽しんでおります。巣ごもり生活が暫く続きそうですが、モノトーンの生活の中でシリコーンのコーヒーカップが彩りを添えてくれています。
「Café Si 」に飾られたお洒落なシリコーン製品たち
我が家のシリコーンカップたち
形態マガジン号キャプテン 阿南 建一
今回の細胞編は、骨髄像における顆粒球系細胞を中心に出題しました。
顆粒球系は、細胞質の顆粒が抜けたり豊富であったり、二次的変化が多くみられますので、細胞質よりも核の所見を重視した方が同定しやすいと思われます。
症例編は、前回号に類似しているようですが、僅かな検査所見を参考にして、末梢血および骨髄の形態所見を理解し、形態診断を行なって下さい。また、形態診断に不可欠な検査所見や鑑別疾患についても考えてみてください。
問題 1
問題 2
【10歳代.男児】 顔色不良、めまい、易疲労感
WBC6,600/µL、RBC466万/µL、Hb8.9g/dL、Ht25.1%、PLT58.8万/µL、BM-NCC16.1万/µL
PB-MG.1000
BM-MG.400
BM-MG.1000
BM-Iron.1000
問題 1
骨髄の細胞同定を行ってください。
一般に細胞同定は、細胞の大きさ、核の占める(核占)割合、核の形状、細胞質の色調などの所見が重要になります。
従って各系列の特徴を把握しながら同定します。
【正答】
A-1.前骨髄球 2.前骨髄球 3.後骨髄球 4.桿状核球、
B-1.分葉核球 2.前骨髄球、
C-1.幼若好酸球 2.単球 3.リンパ球 4.前骨髄球 5.幼若好酸球、
D-1.分葉核球 2.多染性赤芽球 3.正染性赤芽球 4.前骨髄球 5.単球
【解説】
A-1.細胞径15μm大、円形核は偏在し、赤血球に押されており、クロマチン網工は顆粒状であることから前骨髄球と思われます。
2.細胞径17μm大、核の偏在はみられませんが、クロマチン網工が顆粒状であることから低顆粒気味の前骨髄球と思われます。
3.細胞径14μm大、核幅の短径が長径の1/3以上の長さであることから後骨髄球と思われます。
4.細胞径13μm大、核幅の短径が長径の1/3未満の長さであることから桿状核球と思われます。
B-1.細胞径13μm大、分葉傾向が強く、5分節の分葉核球と思われます。
2.細胞径18μm大、類円形核は偏在し、軽度の核型不整がみられ、クロマチン網工は顆粒状であることから低顆粒気味の前骨髄球と思われます。
C-1.細胞径16μm大、類円形核は偏在し、細胞質の粗大顆粒が橙紅色であることから幼若好酸球(前骨髄球)と思われます。
2.~5.は細胞が隣接し、大きさは萎縮気味です。2.細胞径14μm大、核内不整がみられ、クロマチン網工はやや繊細であることから単球と思われます。
3.細胞径7μm大、核の粗荒や細胞質が好塩基性であることからリンパ球と思われます。
4.細胞径16μm大、核は偏在し、クロマチン網工は顆粒状で核小体を有し、好塩基性の細胞質にはゴルジ野がみられることから低顆粒気味の前骨髄球と思われます。
5.細胞径13μm大、長形状の核は偏在し、細胞質は紫紅色の顆粒を有することから幼若好酸球(後骨髄球)と思われます。
D-1.細胞径13μm大、3分節の分葉核球と思われます。
2.細胞径13μm大、円形核はほぼ中心性でクロマチン網工は凝集状、細胞質は多染性の色調であることから大型の多染性赤芽球と思われます。
3.細胞径8μm大の小型、円形核のクロマチン網工は濃縮状で、細胞質は正染性の色調であることから正染性赤芽球と思われます。
4.細胞径17μm大、核は偏在し、クロマチン網工は顆粒状であることから低顆粒気味の前骨髄球と思われます。
5.細胞径15μm大、核は偏在して分葉傾向でクロマチン網工が繊細であることから単球と思われます。核内の白い球体は、核小体というよりも空胞のように思われます。
問題 2
この症例の形態所見から考えられる疾患は何でしょうか。また、鑑別する疾患とそのポイントも考えてください。
【10歳代.男児】顔色不良、めまい、易疲労感
WBC 6,600/μL、RBC 466万/μL、Hb 8.9g/dL、Ht 25.1%、PLT 58.8万/μL、BM-NCC 16.1万/μL
10歳代.男児、小球性貧血(MCV53.9fL、MCHC35.4g/dL)の状態で来院されました。精査のため、骨髄穿刺が施行されました。
本例は、2月号提示の銅欠乏性貧血との鑑別が必要です。
【解説】
A.[PB-MG.1000] 末梢血は菲薄赤血球と正赤血球の混在(二相性)がみられました。
B.[BM-MG.400] 骨髄は正形成(NCC:16.1万/μL)、M/E比は1.2と赤芽球系がやや優位でした。
C.[BM-MG.1000] 芽球は基準範囲で、成熟赤芽球系の一部に大型や巨赤芽球を認め、大型の 赤芽球には細胞質の不染部(矢印)を認めました。顆粒球系や巨核球には特に形態異常は認めませんでした。
D.[BM-Iron.1000] 骨髄の鉄染色でマクロファージに旺盛な鉄顆粒の取り込みや環状鉄芽球を20%認めました。
【他の所見】
血清鉄 160μg/dL、TIBC 304μg/dL、血清ビタミンB6 6.4ng/dL
【臨床診断】
末梢血の二相性赤血球、骨髄の環状鉄芽球の出現などから銅欠乏性貧血に類似しますが、特徴的な空胞などは認めませんでした。赤芽球の細胞質の不染部は、狭小化と同様にヘム合成低下の場合にみられやすいようです。形態異常として二相性赤血球や環状鉄芽球を認め、他にビタミンB6の低値から鉄芽球性貧血を疑いました。本症は、ヘム合成低下によるポルフイリン代謝異常(鉄利用障害)とされます。赤血球における鉄代謝、ヘム合成に関わる遺伝子異常(ALAS2、SLC25A38など)により鉄の利用が障害され、赤芽球の細胞質内のミトコンドリアに鉄が沈着し発症すると言われます。
本例の遺伝子検査は不明ですが、赤血球型アミノレブリン酸合成酵素の変異によるものとされ、本酵素の補酵素であるビタミンB6の投与により貧血は改善されました。従って、ビタミンB6欠乏による鉄芽球性貧血と診断されました。尚、ビタミンB6が有効でない場合、長期にわたり輸血が必要となるため、予後は不良とされます(難病情報センターHP.2020)。
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