ビタミンD Total
骨代謝 アクセス 25(OH)ビタミンD Total
はじめに
ビタミンDは脂溶性のステロイドホルモンで、カルシウムとリンのホメオスタシス(恒常性)の維持において重要な役割を担い、骨の健康の維持に必須です。ビタミンDの欠乏は、成人では骨痛、骨軟化症および近位筋脱力(筋力低下)を引き起こす可能性があり、子供では骨の変形を来すくる病の原因となります1,2。また、ビタミンD 欠乏が癌、感染症、心血管疾患、糖尿病およびその他の慢性疾患のリスクを増加させることを示唆する新たなエビデンスが得られてきています1,3。
ビタミンDは、ビタミンD3(コレカルシフェロール)と ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)の主に2種類の形 で存在します。ビタミンD3は日光の作用を通して皮膚で産生されます。また、ビタミンD2とD3は食餌やサプリメントからも摂取されます。体内においては、ビタミンD2とD3はビタミンDの主な血中代謝物である25(OH)ビタミンD(25-ヒドロキシビタミンD)に変換されます。総25-ヒドロキシビタミンDの血中濃度は、ビタミンDの状態の一般的な臨床指標で、25-ヒドロキシビタミンDの源であるビタミンD2およびD3の両方の取り込みを反映すると考えられています4。現在、血清中の25-ヒドロキシビタミンDの充足が議論されているところですが、多くの専門家は30 ng/mL(75 nmol/L)以上が最も健康上利益になる、と、推奨しています3,4。
アクセス 25(OH)ビタミンD Total の特長
ユニセルDxI システム用
- Ghent University(ゲント大学、ベルギー)が開発したゴールドスタンダードの25-ヒドロキシビタミンD基準測定操作法(RMP*)5,6に準拠しています。
- 25-ヒドロキシビタミンD2と25-ヒドロキシビタミンD3の等モル(equimolar)測定により、正確なビタミンDステータスを提供します。
- 光誘起による試薬の劣化を防ぐための茶褐色の遮光試薬パックは、安定性や再現性のほか、保存の利便性にも配慮してデザインされています。
アクセス 25(OH)ビタミンD Total
測定の標準化
アクセス 25(OH) ビタミンD Totalキャリブレータは、JCTLM(臨床検査医学におけるトレーサビリティ合同委員会) において承認された、Ghent Universityが開発した同位体希釈質量分析基準測定操作法(ID-LC-MS/MS RMP)にトレーサビリティを有しています5,6。このゴールドスタンダード法は、ビタミンD標準化プログラム(VDSP)を利用した基準操作法です。7 VDSPは、アメリカ国立衛生研究所(NIH)のダイエタリーサプリメント室(ODS)により立ち上げられた国際共同研究で、世界中の25-ヒドロキシビタミンDの実験室測定の標準化を推進することを目的としています7。
ユニセルDxI800システムを用いたアクセス 25(OH)ビタミンD Total測定と、このGhent RMPとで評価した、110例の血清サンプルの比較結果は以下の通りです。統計解析はPassing-Bablok回帰とスピアマン相関を用いました。
<略語>
ID-LC-MS/MS:isotope dilution mass spectrometry
JCTLM :Joint Committee On Traceability in Laboratory Medicine
NIH: National Institutes of Health
ODS: Office of Dietary Supplements
VDSP: Vitamin D Standardization Program
主な仕様
Access2 イムノアッセイシステム用
検体種/検体量 |
血清、血漿(ヘパリン)/ 30 μL |
---|---|
測定範囲 |
2.0~120 ng/mL(5.0~300 nmol/mL) |
検出限界 |
2.0 ng/mL(5.0 nmol/L) |
20% CV定量限界(LoQ) |
6.0 ng/mL(15.0 nmol/L) |
試薬安定性 |
開封後(2~10℃):28日間 |
キャリブレータ安定性 |
開封前(-15~-30℃):ラベルに記載された有効期限まで |
キャリブレーション安定性 |
28日間 |
測定時間 |
39分 |
N | 傾き | 相関係数(r) |
単位:ng/mL |
単位:nmol/L |
||
---|---|---|---|---|---|---|
レンジ |
切片 |
レンジ |
切片 |
|||
110 | 1.01 | 0.95 |
8.0-98.6 |
-2.87 |
20.0-246.5 |
-7.17 |
ユニセルDxI システム用
検体種/検体量 |
血清、血漿(ヘパリン)/ 30 μL |
---|---|
測定範囲 |
2.0~120 ng/mL(5.0~300 nmol/mL) |
検出限界 |
2.0 ng/mL(5.0 nmol/L) |
20% CV定量限界(LoQ) |
6.0 ng/mL(15.0 nmol/L) |
試薬安定性 |
開封後(2~10℃):28日間 |
キャリブレータ安定性 |
開封前(-15~-30℃):ラベルに記載された有効期限まで |
キャリブレーション安定性 |
28日間 |
測定時間 |
39分 |
N | 傾き | 相関係数(r) |
単位:ng/mL |
単位:nmol/L |
||
---|---|---|---|---|---|---|
レンジ |
切片 |
レンジ |
切片 |
|||
110 | 0.99 | 0.94 |
8.0-98.6 |
-3.38 |
20.0-246.5 |
-8.46 |
参考文献
- Holick MF. Sunlight and vitamin D for bone health and prevention of autoimmune diseases, cancers, and cardiovascular disease. Am J Clin Nutr 2004; 80 (6 suppl): 1678S-1688S.
- Passeri G, et al. Low vitamin D status, high bone turnover, and bone fractures in centenarians. J Clin Endocrinol Metab 2003; 88: 5109-5115.
- Souberbielle JC, et al. Vitamin D and musculoskeletal health, cardiovascular disease, autoimmunity and cancer: Recommendations for clinical practice. Autoimmunity Reviews 2010; 9: 709-715.
- Holick MF, et al. Evaluation, treatment, and prevention of vitamin D deficiency: an endocrine society clinical practice guideline, J Clin Endocrinol Metab 2011; 96 (7): 1911-1930.
- Stepman HCM, et al. Candidate reference measurement procedures for serum 25-hydroxyvitamin D3 and 25-hydroxyvitamin D2 using isotope dilution-liquid chromatography-tandem mass spectrometry. Clin Chem 2011; 57: 441-448.
- Thienpont L, et al. Standardization of measurements of 25-Hydroxyvitamin D3 and D2. Scand J Clin Lab Invest 2012; 72 (Suppl 243): 41-49.
- Binkley N and Sempos CT, Standardizing Vitamin D Assays: The Way Forward. J Bone Miner Res 2014; 29 (8): 1709-1714.
※ 本ページに掲載されている情報は、医療関係者の方々を対象にしたものです。