第33回臨床微生物迅速診断研究会総会 ランチョンセミナー報告

  • 共催

7月2日(土)に開催された第33回臨床微生物迅速診断研究会にてランチョンセミナーを共催しました。
今回、金沢医科大学 臨床感染症学 教授の飯沼由嗣先生を司会にむかえて、国際医療福祉大学医学部 感染症学講座 教授の松本哲哉先生よりアフターコロナにおける臨床微生物検査のあり方をテーマとしたご講演内容は、新型コロナにより導入された遺伝子検査は、検査の迅速性だけでなく、耐性菌やウイルスの検出にも大きな役割を果たすようになるとし、今後はさらに学会などを通してガイドラインの整備が進んでいることをお話いただけました。また新型コロナウイルスは、現在の感染症第2類相当から第5類相当に変わる可能性などについても触れられており、大変貴重な内容となりました。
本セミナーには100名近くの先生方にご聴講をいただき盛況に終わりました。本研究会にご参加の上、ご聴講いただきました先生方に深く感謝申し上げます。


 




第33回臨床微生物迅速診断研究会総会 ランチョンセミナー
【日 時】 2022年 7月 2日(土)12:00 ~ 13:00
【会 場】 愛媛大学医学部 40周年記念講堂
【共 催】
臨床微生物迅速診断研究会/ベックマン・コールター株式会社
【演 題】 「アフターコロナを見据えた臨床微生物検査のあり方」
【司 会】
飯沼 由嗣 先生
(金沢医科大学 臨床感染症学・感染症科)
【演 者】
松本 哲哉 先生
(国際医療福祉大学医学部 感染症学講座
 国際医療福祉大学成田病院 感染制御部)
【要 旨】
新型コロナウイルスの感染拡大は微生物検査にも大きな変化をもたらした。PCR を始めとする遺伝子検査はこれまでも進歩を続けていたが、新製品の実用化や各医療機関への導入についてはどちらかといえばペースは緩やかであったと思われる。しかし、新型コロナウイルスの出現によって検査体制の拡充がマスコミなどでも騒がれるようになり、これまでにないスピードで新しい検査法が開発され、国も承認までのスピードを加速化させていった。多くの病院は自施設での検査を可能にするために新しく機器を導入し、検査スタッフを増員し、これまでとは比べられないレベルで感染症の迅速検査に注目が集まるようになっていった。ただし、現場には多くの負荷がかかるようになり、検査の方法や評価がしばしば変わり、慌ただしく対応せざるを得ない状況が続いている。

このように新型コロナウイルスによって微生物検査はピンチを迎えたが、これをチャンスと捉えて今後に生かすことがこれからの課題になると考えられる。例えば、微生物検査の重要性が広く認識されるようになってきたことで、特に迅速検査の有用性がアピールできるようになった。これまでコストを理由に新しい機器の導入にも渋い反応しか示さなかった病院の上層部も、以前に比べて前向きに考えてくれるようになってきたと思われる。さらに、新型コロナウイルスだけでなく他の迅速検査も保険適用が認められるようになってきており、積極的に新しい迅速検査を取り入れる機運が高まってきていると考える。

おそらく新型コロナウイルスの流行もやがては収束を迎えるであろう。そうなるとコロナの検査を目的に導入した検査機器が急に用途がなくなる可能性もある。そうなる前に次の検査への応用を目指して新たな展開を考えていく必要があると思われる。
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