2013年08月05日
「第88回 北海道医学検査学会」詳細ページを掲載しました。
- その他
- 日 時
- 2013年9月14日(土)、15日(日)
- 会 場
- 日本赤十字北海道看護大学 MAP
- 展 示 機 器
- 血球計数装置コールターセルラーアナリシスシステム ユニセル DxH 800
- 日 時
-
- 2013年
- 9月
- 14日(土)
- 13:40 ~ 13:55
- 会 場
- 日本赤十字北海道看護大学 MAP
講義室1-3(第4会場) - 演 題
- PSA測定の現状と将来
- 演 者
- 森 和雄
ベックマン・コールター株式会社 ダイアグノスティックス学術統括部門 - セ ミ ナ ー
内 容 -
PSAは、1979年Wangらによって発見された分子量34,000の糖蛋白質であり、237アミノ酸配列により構成されている。またPSA は、前立腺の腺上皮細胞にて分泌され、前立腺疾患において血中に漏れ出てくることから、もっとも優れた血中前立腺疾患マーカーである。
血中マーカーとしてのPSA測定の歴史は、Tandem-R PSA(ベックマン・コールター社製)キットが1986年に世界初のPSA測定キットとしてFDA(米国食品医薬品局)承認されたことから始まった。臨床利用としては、1994年Dr.Catalonaらがベックマン・コールター社製PSA測定キット(Tandem-R PSA)による前立腺癌カットオフ値4.0ng/mLを発表した。このカットオフ値4.0ng/mLは、臨床判断において現在もまったく揺らぐことの無い前立腺癌の判断指標となっている。
前立腺から血中に漏れ出たPSAの存在形態は、①単独で遊離している遊離型PSA(以下フリーPSA)
②α1-アンチキモトリプシンと結合し複合体を形成するPSA-ACT
③α2-マクログロブリンと結合し複合体を形成するPSA-MGの3種である。この3種の形態のうち、抗体を用いて測定することが可能な形態は①②であり、③は全形態中1~2%であるため、測定が不可能でも問題が無いとされている。すなわち総PSA(以下トータルPSA)は、①②を測定することである。
前立腺疾患血中マーカーとして非常に有用性の高いトータルPSAは、検診/診断(スクリーニング)や治療指標(モニタリング)として用いられているが、役割として完全とは言えない。それは、前立腺癌鑑別において明確な指標になりえない点である。トータルPSA4~10ng/mLのグレイゾーンにおいて癌の可能性は平均25%であり、前立腺生検を実施した場合は4人中3人が無駄な生検を実施したことになる。
よって前立腺癌診断効率を上昇させるためトータルPSAを上回る新規マーカーが待ち望まれている。その中で現在、臨床検査に用いられている検査は、フリーPSAをトータルPSAで割ったフリーPSA/トータルPSA比等があるが、臨床診断の要求を満たすには至っていない。
このような状況において、我々はPSA前駆体であり前立腺癌でより多く分泌されるproPSAに着目した。proPSAは数種存在するが、その中でもPSAよりも2アミノ酸配列の多い[-2]proPSA測定キット(以下p2PSA)の開発に着手し、完成した。現在、p2PSAは国内外において試薬性能の研究検討を実施中である。当日は、PSA測定によって得られた成果と問題点、及び新規前立腺疾患マーカー測定キットp2PSAについて発表を行う。