2017年12月13日掲載
セル ポピュレーション データ(Cell Population Data)を用いた細胞解析
今回は、自動血球計数装置 UniCel DxH シリーズ(以下DxH)に新たに搭載されたリサーチ項目セルポピュレーション データ(Cell Population Data:以下CPD)について解説します。自動血球計数装置における白血球分類の目的は、5種類の細胞分類と異常の判定となりますが、近年の血球計数装置では、さまざまなリサーチ項目が搭載されており、新しい測定情報を提供しています。CPDは、DxHの7種類の測定パラメータによって取得された細胞解析情報をそれぞれの細胞集団毎に示したもので、平均値と変動幅で表示されます。このCPDは、従来にない細胞解析情報で、疾患の診断や病態の把握など有用な臨床情報を提供します。
(1)DxHにおける測定パラメータと細胞分類
DxHにおける白血球分類測定では、電気抵抗法、高周波電導度、5種類のレーザー散乱光の7種類の測定パラメータを用いて詳細な細胞情報を取得します。これらは、細胞の体積、細胞内密度、細胞構造の複雑性、顆粒特性、核構造や分葉度などの細胞特性を検出します。また、測定時に計測されるイベント数は、正常検体において約8,000個で、それぞれの細胞は7種類の測定情報に基づき細胞分類が行われています。測定された検体は、細胞分類データと2次元の細胞分布図(Plot 図)の結果が表示されます。
(2)DxHにおける検体の異常判定と再検方法
測定された検体は、装置内のフラッギングアルゴリズムにより異常判定がなされます。異常の判定結果は3種類のメッセージとして表示されます。
これらのフラッグが表示された検体においては、それぞれの検査室内の基準によって目視法などの用手法分析が必要となる場合があり、判定を行うための測定情報としてCBC 測定情報やPlot 図やヒストグラムなどの情報も踏まえて判定を行うことも必要です。
(3)自動白血球分類における異常判定と課題
白血球分類測定の測定結果は、上述した通り、さまざまなフラグ、Plot図やCBC測定情報を用いて結果の判定を行いますが、表示されるフラグは定性的かつ限定的となります。また、一度にさまざまなフラグが表示されることもあるために判定に苦慮する場合も少なくありません。有用とされるPlot図による判定においては、その判断は視覚的な判定となるため、個人差を認めることになります。
(4)CPDにおける細胞解析情報
CPDとは、7種類の測定パラメータによって取得された細胞解析情報をそれぞれの細胞集団毎に示したもので、平均値と変動幅で表示されます。DxHの白血球分類測定において、好塩基球を除く好中球、リンパ球、単球、好酸球でCPDは表示されます。
正常検体におけるCPDは、それぞれの細胞集団に対して一定の範囲内で推移していますが、幼若細胞が出現している細胞群では、その値は大きく変動します(下図参照)。このようにCPDは、従来の判定方法とは異なる定量的な測定情報として、異常細胞の検出や病態の把握などに利用が可能なリサーチ項目です。
次回は、白血球分類におけるセルポピュレーションデータ(CPD:Cell Population Data)の活用法について解説します。
引用文献
UniCel DxHシリーズ コールターセルラーアナリシスシステム
製造販売届出番号:13B3X00190000038
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