2017年4月18日掲載
自動白血球分類法(VCS テクノロジー)の使用法
今回は、自動白血球分類法(VCS テクノロジー)の使用法について、従来の目視法による白血球分類との違いを交えて解説します。
これらの情報は、形態診断を行う上で重要であり、病型分類や診断、病態の把握に用いられますが自動白血球分類においても同様に求められていました。
ここで自動白血球分類法(VCSテクノロジー)と用手法分類法の違いを示します(表1)。
表 1 からは、それぞれの分析法の特長に違いがあることが確認できます。目視法分類法は、細胞鑑別などの正確性に優れており、自動白血球分類法では、精密性や迅速性などに特長があります。これらの違いから白血球分類検査の使用法は、同一の基準ではなく、目的に応じた運用が必要とされると思われます。
また、従来の目視法分類法では、以前から以下についての課題が認められており、研修会などで技術指導が行われていました。
例えば、塗抹標本上の細胞を分類する場合には、どの位の精度であるかをご存じでしょうか。こちらに白血球分類における95%信頼区間を示した表(表2)があります。この表の左端列には対象細胞の比率(%)、最上段行には細胞カウント数(実数)があらわされています。列が下に行けば細胞比率が高くなり、行が右に行けばカウント数が高くなっています。
ここで例題から目視法分類の精度を考えてみたいと思います。
(例題)
細胞比率1%の細胞が存在します。100カウントした場合の細胞比率はどのくらいでしょうか。
(解答)
左2列目の3段目の数字は、0 ~ 6(%)が記載されています。100カウントの場合には、この範囲で結果が示されることになります。
ちなみに1,000カウントの場合には、0~2(%)となり、結果の幅が小さくなっています。
目視法による白血球分類は、100 ~ 200カウントが一般的ですので、これらのことを留意しなければなりません。また、自動白血球分類法(VCSテクノロジー)では、細胞数の増減の影響を受けずに8,192個(最大)の細胞数で白血球分類を行っていますので精密性(再現性)については大変優れていると思われます。
自動白血球分類法は、臨床検査室で普及する中でそこから得られる測定情報に着目し、さまざまな研究が行われることになりました。血球計数装置からは以下の測定情報が得られます。
この中で、測定検体の細胞分布を表したスキャッタープロット(細胞分布図:以下プロット)に関しては、さまざまな検討が行われています。今回はその一部を紹介します。
プロットは、測定原理に応じた細胞特性から示される細胞分布図で、正常なプロットでは、分類された細胞群が一定のパターンで表示されていますが、反応性病変や腫瘍性病変を伴う検体においては、構造破綻からか全く異なるパターンを呈します。(図1) の通り、急性骨髄性白血病や類縁疾患では腫瘍細胞の出現から異なるパターンを示しています。また、現在の血球計数装置(UniCel DxH)では、新しい測定情報として立体的で細胞分布がわかりやすい三次元プロット(DxH 3D/ 表面プロット)が加わっています。
血液検査室で普及した自動白血球分類法ですが、プロットの細胞解析を踏まえた検体の判定には至っていないケースが見受けられますので、これを機会に一度ご欄になっていただければと思います。
次回も引き続き、血球計数における自動白血球分類について解説します。
引用文献・資料
UniCel DxHシリーズ コールターセルラーアナリシスシステム
製造販売届出番号:13B3X00190000038
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