2015年5月11日掲載
(株)グッドライフデザイン ラボラトリー事業部
コネクティビティで血液検査の効率化と平準化を実現
トヨタ自動車(株)と三菱商事(株)の合弁会社である(株)グッドライフデザインのラボラトリー事業部は、2015年3月までに血液検査部門の機器更新を段階的に行い、ベックマン・コールター社の「UniCel DxH 1601」×2式を導入した。ラボラトリーグループ長の尾﨑文彦氏は、「業務の効率化」、「TAT(採血から報告までの時間)」、「検査品質のさらなる向上」を機種選定基準として掲げていたが、「UniCel DxHシリーズ」のコネクティビティ・コンセプトを知った時のことを「衝撃的だった」と振り返る。
(株)グッドライフデザインのラボラトリー事業部(GLDラボ)は、愛知県豊田市のトヨタ記念病院の敷地内にあり、病院の患者検体とトヨタ自動車(株)及び、グループ企業従業員の健診検体の処理を行っている。2005年12月には、全国で6番目となるISO 15189の認定を取得し、業界最高品質の臨床検査室を運営している。尾﨑氏はGLDラボの理念について、トヨタ自動車(株)が掲げる安全、高品質、効率化を基に幅広いニーズに柔軟に対応し、「臨床検査を通じて社会に貢献する」ことを掲げる。
GLDラボは生化学・免疫、血液、尿一般、細菌検査、受付・集材、インフォメーションの6部門からなり、スタッフは29人で、臨床検査技師23人、事務部門6人で構成されている。開設して10年が経過し、ピーク時における1日あたりの最大検体数は、開設当時の1,000から3,000検体に増加した。トヨタ記念病院から朝7時半に到着する入院患者検体の結果を9時までに報告し、その後は病院の外来検体、外部の健診機関からの集配検体に対処する。
血液部門の機種選定において、尾﨑氏は各社機器のデモを実施して、選定基準に基づき一から検討を行った。また、外付けの前処理装置、搬送ラインも検討したが、業務の効率化と迅速化、そして検査品質等を総合的に判断し、血球計数装置と血液塗抹標本作製装置が接続されたコネクティビティ・コンセプト「DxH シリーズ」のUniCel DxH 1601×2式、そして血液検査ミドルウェアシステム「Be-lis Hema」、仕分け装置「DxH Tube Sorter」の導入を決めた。
GLDラボは、トヨタグループ内の健診検査項目や採血管の違い、血算測定後のHbA1c測定の有無、血液内科からの標本作製依頼や異なる再検指示等、病院検体と健診検体ごとにさまざまな対応が求められる。前処理装置や搬送ライン以上に柔軟にカスタマイズでき、効率化が期待できるDxH 1601 は、GLDラボの複雑な検体処理工程を最適化した。
また、Be-lis Hema、DxH Tube Sorter は、検体受付から自動仕分けまでを完全に自動化した。特に「Be-lis Hema」は、業務改善に対する高い意識を持つ尾﨑氏の要望を取り入れることで、よりカスタマイズされた効率的な運用が可能になった。
同事業部サブマネジャー、血液部門責任者の青山知永氏は、「以前は、採血管の検体量をラボに到着した時点で目視確認し、検体量が不足する場合にはマニュアル測定を行っていた。目視確認が間に合わず、搬送ラインを流れていってしまい、検体量不足になるリスクもあった」という。UniCel DxH 1601では、検体吸引量の低減と検体吸引機構の変更により、以前より検体量不足対応にかかる工数が減少した。従来マニュアル測定を行っていた少量検体においても自動測定が可能となり、TAT短縮につながった。マイクロティナーを使用した微量検体測定や5 倍希釈による測定にも対応する。
また、青山氏は「検査精度が向上し、実際の標本作製枚数も従来の半分になった」という。血液像は、迅速な結果報告を要する場面があり、「標本作製時に、さまざまな条件を組み込むことが可能な、自動再検・標本作製プログラムであるデシジョンルールを利用することで、以前に比べて効率的な処理が可能となり、標本作製の負担軽減と、血液像迅速対応にも役立っている」。1時間あたり最大140スライドの処理能力によって、標本作製時間も短縮されている。
尾﨑氏は「ISOや精度管理、TAT短縮への取り組みは、コストとのバランスが重要」と話す。スライド作製にかかるコストは50%も減少し、ランニングコストの削減も実感している。
GLDラボは、ISO 15189認定取得施設でもあり、整理整頓がなされていて、業務に必要な表示や情報が認知しやすく掲示された機能的な作業空間となっている。今回、搬送ラインから“コネクティビティ”に更新したことで、省スペース化され、作業動線の改善と業務効率の向上につながった。「安全、高品質、効率化」という企業理念に合致した業務改善を実行している。
DxH 1601×2式の導入により業務の平準化を図ることができ、検体が集中する時間にも対応しやすくなった。尾﨑氏は病院検体をより迅速に対処するための取り組みを継続している。今年3月には、病棟検体の受付開始を1時間早めることを決定した。「従来であれば、出勤時間を大幅に前倒しする必要があったが、自動立ち上げ機能のおかげで、機器のセットアップにかかる時間が短縮され、始業30分前の出勤で対応できる」。春季や秋季などの企業健診シーズンでも計画的にスケジュールを立てることができ、勤務シフトも組みやすくなったという。「わたしたちの組織は若いので、効率的に時間を使うことで、今まで以上にスタッフの自己研さんやスキルアップに力を入れていきたい」と、尾﨑氏は目指す組織像を熱く語った。
(THE MEDICAL & TEST JOURNAL 2015 年5月11 日第1309 号掲載)
UniCel DxHシリーズ コールターセルラーアナリシスシステム
製造販売届出番号:13B3X00190000038
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