2018年2月13日掲載

Vol.3PML-RARAを伴った急性前骨髄球性白血病

Case history

咳・発熱にて近医受診。血液検査で汎血球減少を認め、紹介受診。

細胞形態

末梢血・骨髄ともに中~大型で、N/C比やや小、核型不整があり、アズール顆粒豊富な前骨髄球が多数認められる。また、faggot cellも多数認められる。

*データ提供ご施設により、「エビデンス血液形態学」(阿南建一、亀岡孝則、他著、近代出版、2014)を参考にして本症例の形態的特徴が数値化されています。


診断および解説
症例は60代男性。2014年1月末頃より咳、発熱を認めたため近医を受診。その際、血液検査にて汎血球減少が認められ、2014年2月に当院、血液・膠原病内科を紹介受診された。当院の生化学検査にてCRP 10.073 mg/dL、LDH 304 IU/Lと高値を示し、血液検査においてはWBC 1.3×109/L、RBC 2.14×1012/L、HGB 7.9 g/dL、PLT 51×109/と汎血球減少が見られ、末梢血液像においても前骨髄球相当の異常細胞が36.8%認められた。
また、凝固検査でPT 52.6%、FDP 166.8µg/mL、D-Dimer 32.6 µg/mLとDIC所見を認めたため当日、即入院となった。末梢血液像において異常細胞の細胞形態は、中型~大型でアズール顆粒が豊富であり、また核型不整が多く見られアウエル小体やファゴット細胞が散見された。骨髄中においても同様の異常細胞が72.4%を占め、核型不整が著しく見られファッゴト細胞も多数認められた。これらの異常細胞はPeroxidase染色強陽性であった。染色体検査にて、t(15;17)を認め、またPML/RARA キメラmRNA 定量検査にて9.4×104コピー/µgRNA 検出したことからWHO分類でAcute promyelocytic leukemia with PML-RARA(AML-M3)と診断した。


測定情報の解説

WBCヒストグラムはLY領域からMO領域までの大きなシングルピークが出現しています。また、ヒストグラムの35fL付近の立上りが、上方より始まっていることから干渉物質の影響が考えられます。
メッセージは幼若細胞を示すMO Blast、Left Shift、Imm Grans が表示され、血小板の凝集を示すPlatelet Clumpsや干渉を示すCellular Interが表示されています。
DIFF-図a、b からMO領域に上伸する細胞集団が確認できます。
DIFF-図c、dから、正常のMO、NE領域には存在しない集団が、V軸上方域に認められます(青点線丸)。
また、NRBC-図fより多数の緑色ポピュレーションの集塊が認められており、血小板凝集が示唆されます。



RUO(Research Use Only): リサーチ項目
診断用項目でありません。

注:同一症例において、同様な結果が得られるとは限りません。

(データ提供:近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部)

UniCel DxHシリーズ コールターセルラーアナリシスシステム
製造販売届出番号:13B3X00190000038

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