症例4
年齢 | 60歳代 | |||
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既往歴 | 糖尿病, 心筋梗塞 | |||
現病歴 | 1ヶ月前より膝後部の痛みが出現、大腿部、足関節、肩関節へと痛みの部位が拡大した.20日後、全身倦怠感、食欲低下を来たし、咽頭痛、右後頚部痛も出現し、白血球増加より入院となる. 頚部リンパ節腫脹、肝脾腫あり. | |||
血液学所見 | WBC(/μl) | 55,100 | RBC(万/μl) | 338 |
Hb(g/dl) | 9.1 | Ht(%) | 28.3 | |
PLT(万/μl) | 22.9 | MCV(fl) | 83.7 | |
MCH(pg) | 26.9 | MCHC(%) | 32.1 | |
血液像(%) | Blast 1,Pro 4,My 6,Met 1,St-Seg 74,Ly 10,Mo 4 | |||
細胞化学所見 | NAP染色 | PS 258, PR 92% | ||
骨髄所見 | NCC(万/μl) | 124.0 | MgK(/μl) | 440 |
M/E比 | 7.6 | Blast様(%) | 2.6 | |
生化学所見 | LDH 302 IU/l, CRP 4.9 mg/dl,VB12 2,490 pg/ml | |||
染色体所見 | 46,XY,i(17)(q10)‥5/5 |
[末梢血×1000.MG染色] 顆粒球には大型〜巨大血小板、偽ペルゲル(好中球)、核分葉(赤芽球)を認める. 拡大して解説を見る |
[骨髄×400.MG染色] 骨髄は過形成で、顆粒球系の増加には分化段階がうかがえる. 拡大して見る |
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[骨髄×1000.MG染色] 好中球には低顆粒を認める. 拡大して解説を見る |
[骨髄×1000.MG染色] 好中球に偽ペルゲル異常や低顆粒を認める. 拡大して解説を見る |
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[骨髄×1000.MG染色] 小型の巨核球がごくわずかにみられる. 拡大して解説を見る |
正解 : 5 非定型性慢性骨髄性白血病(aCML)
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年齢 | 60歳代 |
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〜前発信〜 | |
末梢血所見から | 白血球増加(55,100/μl)の分類では幼若型を含む顆粒球系が主体(86%)である. 若干であるが芽球もみられる(1%). |
骨髄所見から | M/E比は7.6と顆粒球系細胞が優位である. ミエログラムにて芽球2.6%、幼若顆粒球53.6%、好中球25.4%、好酸球1.0%、好塩基球0.4%であった. 三系統の形態異常は、好中球にペルゲル様の核異常や脱顆粒が目立ち、わずかであるが小型巨核球がみられる. |
細胞化学所見から | 末梢血で白血球増加と幼若型を含む顆粒球の増加より、CMLや類白血病反応を考慮し、これらの鑑別としてNAP染色が有効である. NAP活性は陽性指数258、陽性率92%と正常域を呈した. |
【形態診断】 | 顆粒球系細胞の増加と形態異常より下記疾患を考えた. @MDS、Aatypical CML(aCML)、BCML、C類白血病反応 CMLについては、好酸球や好塩基球の増加はなく、NAP活性が正常域より否定し、類白血病反応では基礎疾患の有無が問われる. 結局、顆粒球系のみの形態異常を考慮するとMDSまたはaCMLを疑った. |
〜後発信〜 | |
分子生物学的から | 46,XY,i(17)(q10)‥5/5cells BCR-ABLgene (-) |
【臨床診断】 | Ph染色体、BCR-ABL遺伝子を認ず、骨髄での顆粒球系細胞の異形成が主体よりMDSまたaCMLが考えられた.骨髄生検の所見は、顆粒球の増殖と異形成を伴った過形成が主であったことよりaCMLと診断された. |
WHO分類 | 骨髄異形成/増殖性疾患 Myelodysplastic/myeloproliferative
diseases ☆非定型慢性骨髄性白血病 Atypical chronic myeloid leukemia(aCML) |