症例3
年齢 | 70歳代 | |||
---|---|---|---|---|
現病歴 | 白血球増加を主訴に来院し、精査のために骨髄穿刺が施行された. 胸部X線、腹部エコー異常なし. |
|||
血液学所見 | WBC(/μl) | 52,000 | RBC(万/μl) | 542 |
Hb(g/dl) | 12.5 | Ht(%) | 40.7 | |
PLT(万/μl) | 14.5 | MCV(fl) | 75.1 | |
MCH(pg) | 23.1 | MCHC(%) | 30.7 | |
血液像(%) | Promy 1, My 2, Met 2, St 6, Seg 88, Ly 1 | |||
骨髄所見 | NCC(万/μl) | 40.6 | MgK(/μl) | 156.25 |
Blast(%) | 3.0 | |||
細胞化学所見 | NAP活性 (PS 476,PR 100%) | |||
生化学所見 | LDH 424 IU/l, 尿酸 8.6 mg/dl,VB12 6,100 pg/dl, 血清リゾチーム 72.3 μg/ml, |
[末梢血×400.MG染色] 白血球の著増は成熟好中球が優位である. 拡大して見る |
[末梢血×1000.MG染色] 成熟好中球は48,880/μlと増加して、全般に顆粒の出現が少ない. 拡大して解説を見る |
|
[骨髄×400.MG染色] 顆粒球系細胞が優位で、赤芽球が抑制されている. 拡大して見る |
[骨髄×1000.MG染色] 末梢血と同様に好中球の増加がみられる. 拡大して解説を見る |
|
[末梢血×400.NAP染色] 好中球に活性の高値を認める. 拡大して解説を見る |
正解 : 1 慢性好中球性白血病(CNL)
拡大した形態画像には、解説が含まれています。
年齢 | 70歳代 |
---|---|
〜前発信〜 | |
末梢血所見から | 白血球増加(52,000/μl)の分類では好中球が増加(48,880/μl)し、なかでも分葉核球が主体である. 好酸球や好塩基球の増加はない. |
骨髄所見から | M/E比は7.4と顆粒球系細胞が優位である. ミエログラムにて芽球3%、幼若顆粒球42%、成熟顆粒球(好中性)34.8%、好酸球0.4%であった. 造血三系統に形態異常はみられない. |
細胞化学所見から | 白血球増加と幼若型を含む顆粒球の増加より、CMLや類白血病反応を考慮し、好中球の増加はCNLも鑑別疾患として考える.これらの鑑別にはNAP染色が有効である. NAP活性は陽性指数476、陽性率100%と高値を呈した. 顆粒球系細胞の増加より以下の慢性骨髄増殖性疾患を考えた. |
【形態診断】 | @好中球性白血病(CNL)、ACML、B類白血病反応 CMLについては、好酸球や好塩基球の増加はなく、また、NAP活性が高値より否定し、類白血病反応では基礎疾患の有無が問われる. 結局基礎疾患たるものはなく、好中球の増加がポイントと思われ、VB12、リゾチームの高値を考えるとCNLを考えた. |
〜後発信〜 | |
分子生物学的から | 46,XX |
【臨床診断】 | 増加する好中球をポイントに、上記の形態診断を考慮するとCNLを疑う. 三浦亮(1992)のCNLの診断基準から、@白血球増加(20,000/μl以上)、APh染色体陰性、B真性多血症の診断基準を満たさず血小板数が100万/μl以下、CNAP高値、D感染、悪性腫瘍などの類白血病反応を来たす原因疾患を認めない.EVB12、血清・尿リゾチーム、血清尿酸の高値などを参考にCNLと診断された. |
WHO分類 | 慢性骨髄増殖性疾患 Chronic myeloproliferative diseases (CMPD) ☆慢性好中球性白血病 Chronic neutrophilic leukemia(CNL) |