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症例1

年齢 70歳代
現病歴 腹部膨満感にて来院、白血球増加の血液像に幼若細胞が出現していたため入院となる.
肝脾腫あり、リンパ節腫脹なし.
血液学所見 WBC(/μl) 73,500 RBC(万/μl) 411
Hb(g/dl) 12.7 Ht(%) 37.6
PLT(万/μl) 28.2 MCV(fl) 91.5
MCH(pg) 30.9 MCHC(%) 33.8
血液像(%) Promy 4, My 8, Met 2, St-seg 73, Ba 1, Ly 6, Mo 6
骨髄所見 NCC(万/μl) 37.0 MgK(/μl) 60
M/E比 15.1 Blast様(%) 0.4
細胞化学所見 NAP染色 (PS 46,PR 22)

 
[末梢血×1000.MG染色
成熟好中球の増加のなか幼若顆粒球や単球がみられる。
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[骨髄×400.MG染色
骨髄は過形成像で、顆粒球系細胞が優位である。
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[骨髄×1000.MG染色
芽球は散見されるほどで、顆粒球系細胞には分化傾向がみられる。
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[骨髄×1000.MG染色
顆粒球系細胞に低顆粒を認める。
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[末梢血×1000.NAP染色
好中球に活性の低値を認める。
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解説&臨床診断



 正解 : 3 慢性骨髄性白血病(CML)

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年齢 70歳代
〜前発信〜
末梢血所見から 白血球増加(73,500/μl)の分類にて好中球73%、幼若顆粒球が14%みられる.
好酸球や好塩基球の増加はみられない.
骨髄所見から 骨髄は過形成で、M/E比は15.1と明らかに顆粒球系細胞が優位である.
芽球は3%以下の正常範囲であり、増加する顆粒球系細胞の分化段階の所見が重要になる.形態学的には好中球にやや低顆粒がみられ、末梢血同様、好酸球や好塩基球の増加はみられない.
細胞化学所見から 末梢血で白血球増加と幼若型を含む顆粒球の増加より、CMLや類白血病反応を考慮し鑑別にはNAP染色が有効である.
NAP活性は陽性指数46、陽性率22%と低値であった.
【形態診断】 顆粒球系(好中性)の増加とNAP活性が低値よりCMLを疑う.本型では顆粒球系(好中性)では全般に好中球の顆粒が少ないことが多い.
〜後発信〜
分子生物学的から 46,XY,t(9;22)(q34;q11)
BCR/ABL gene(+)
臨床診断 臨床的に脾腫がみられ、形態学的ならびにNAP活性が低値よりCMLを考慮し、染色体所見ではPh染色体陽性、BCR/ABL 遺伝子を認めたためCMLと診断された.
WHO分類 慢性骨髄増殖性疾患 Chronic myeloproliferative diseases(CMPD)
☆慢性骨髄性白血病 Chronic myelogenous leukemia(CML)


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