MDSのWHO分類分類改訂第4版の概要
増田亜希子:WHO分類2016の変更点.東大臨床検査セミナー資料.2017
1)RS(環状鉄芽球)の定義
@RS≧15%(WHO.2008と同様)
ARS≧5%でSF3B1変異を認めるもの
2)多系統の異形成+RS病型⇒MDS-RS-MLD
MDSにおける各系統の異形成所見
(WHO.2001,2008,2017)
わが国におけるMDSの血球異形成所見
厚労省特発性造血障害調査研究班.2005
主観が入る形態学の弱点を克服してMDS診断の精度を高めるために、国際MDSワーキンググループ(International Working Group on Morphology of MDS:IWGM-MDS.2005)が設立され、わが国でも
厚労省特発性造血障害調査研究班(MDS中央診断ワーキンググループ)が立ち上がり、MDS診断の統一に向けて活動されました。
MDSに時々みられるクローン性染色体異常、例えば、Y染色体欠失や8番染色体トリソミー、del(20q)は非腫瘍性の状況でもみられるため、これらが単独の異常として生じ、形態的な基準を満たさない時にはMDSの決定的な所見とは考えられないとされます。
MDSにおいて高頻度にみられる遺伝子変異は、RNAスプライシングを調節する蛋白質(SF3B1,SRSF2,U2AF1,ZRSR2を合わせると50%を超える)をコードするもの、あるいはDNAメチル化調節(TET2,DNMT3A,IDH1/IDH2)やヒストン修飾(ASXL1,EZH2)の調節によって遺伝子発現を調節している遺伝子であるとされます。
診断時のMDSにみられる主な染色体異常とその頻度
MDSにみられる主な遺伝子変異とその予後
*健常人の一部にみられるクローン性造血においても
報告がある。
**脚注:予後への影響がはっきりしない方向で異なる。
宮崎泰司:WHO分類改訂第4版による白血病・リンパ系腫瘍の病態学.中外医学社.2019
国際MDSワーキンググループ(IWGM-MDS.205)と時を同じくして、わが国でもMDSの診断確度を上げるためにMDS中央診断ワーキンググループは、異形成の程度の判定基準、染色体異常の区分をもとにしたMDSの診断確度の基準を完成させアトラスを作成し普及を目指しました。 そのなかで、MDSに特異度の高い異形成(CategoryA)とMDSの存在を示唆する異形成(CategoryB)を区分し実践に用いました。
CategoryAの判定基準にあたる形態異常
低分葉核好中球
低(脱〉顆粒好中球
微小巨核球
環状鉄芽球
CategoryAの判定基準
朝長万左男:血液形態セミナーin 宮古島. Sysmex.2012