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骨髄の造血三血球(系統)で最も大型なものは血小板系の骨髄巨核球です。
巨核球は未熟の段階で核分裂やDNA合成を生じ、細胞質の分裂を伴わない、いわゆる内分裂(endomitosis)の様式とります。正常型は倍数体の核(2N,4N,8N,16N,32N‥)を有し、大型で分葉核を示します。
大きいために癌細胞との区別を要する場合があり、免疫酵素抗体法でそれを否定することも1つの手段です。
経過中1回目の骨髄穿刺 | 経過中2回目の骨髄穿刺 |
- 経過中1回目の骨髄
- 低形成にて赤芽球の抑制が顕著で、僅かに残存するのは前赤芽球であり、その前赤芽球は大型で巨大前赤芽球として みられた。臨床的には顔面に平手打ち紅斑がみられ、赤芽球系の急激な減少からウイルス感染症(パルボウイルスB19) が疑われ、そのIgM抗体価が高値を示したことからヒトパルボウイルス感染症と診断された。
- 経過中2回目の骨髄
- ウイルス抗体価の正常下後、骨髄穿刺がおこなわれ、赤芽球系の復活がみられる。
背景の黄色の赤血球は古いもので新生の赤血球はやや多染性気味である。 - 発生機序
- 本ウイルスは赤芽球系幹細胞(BFU-E、CFU-E)および前赤芽球段階の細胞に親和性が強く、その侵入によって主として
赤芽球を容易に破壊するといわれている。急性期に本ウイルスの侵入を受けた前赤芽球は巨大化(感染赤芽球?)し、
著しい異型性を示すのが特徴で、それ以降の成熟段階の赤芽球は脱落してみられず、網赤血球もほぼ消失する。これを急
性赤芽球癆(aplastic crisis)とよぶ。
本ウイルスに対する中和抗体が産生され、ウイルスが排除されるともに赤芽球は一過性の過形成を呈し、網赤血球も増加する。本例のように溶血性貧血に合併することが多く、代償性造血が停止し貧血は急速に進行するといわれている。