Q9. 骨髄像の細胞同定を行って下さい。 解答と解説
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選択細胞 | |
1 | 前単球 |
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2 | 好中性前骨髄球 |
3 | 幼若好酸球 |
4 | 幼若好塩基球 |
【ねらいと解説】
顆粒球系細胞のなかで鑑別を要する幼若な細胞を提示しました。
ともに28μm大で、よく似た形態像を示します。しかし、眼力を働かせて観察しますと、異なる細胞であることに気づくと思われます。
細胞の大きさやN-C比から有意の差はみられませんが、核の偏在はどうでしょう?
ともに偏在気味のようですが、A.は全体的に辺縁が濃く染まっているようで、それは左辺縁部に特に著しいようです。すなわち、周囲の赤血球に押しやられた感じを受けますので、実際は細胞質がもう少し見えそうです。従って、B.とC.を偏在として捉えます。
次に、核の状態はどうでしょう? A.は類円形でクロマチンは粗荒で平坦状、B.は類円形でクロマチンは粗網状で核小体を認め、C.は類円形で不整、クロマチンは繊細網状で核小体を認めます。
次に、細胞質の状態はどうでしょう? A.は黒紫色の粗大な好塩基性の顆粒を有し、それは核の上にも存在しています。B.は好塩基性の名残りに、A.に比べると小さなアズール顆粒を認めます。
C.は全体がくすんだ色(くもり空様)で、B.よりもさらに小さな(微細な)アズール顆粒を認めます。
眼力を生かして観察しますとこれらは異なる細胞であり、A.は幼若な好塩基球(好塩基性の前骨髄球あたり?)、B.は好中性の前骨髄球、C.は単球系の幼若細胞すなわち前単球と同定されるはずです。特に、B.とC.は正常の骨髄で鑑別を余儀なくされますのでポイントを覚えておくことが必要です。顆粒球系細胞では、二次顆粒の出現によって好中性、好酸性、好塩基性を鑑別することになりますが、好酸球は骨髄球からの分化段階を分類し、好塩基球は分化段階をしっかりつかめないことが多いので一括して好塩基球として分類するのも一案かも知れません。
【解答】
A:4.幼若好塩基球、B:2.好中性前骨髄球、C:1.前単球
【正解率】
A:91% B:91% C:82%
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