症例18 解説と解答
60歳代.男性例です。
必要な検査所見(A,B)と形態診断を行って下さい。
RRBC 338万/μl, Hb 9.1g/dl, Ht 28.3%, PLT 26.4万/μl, WBC 56,000/μl (Blast 1%,Promy 4%,
My 6%, Met 2%, St-Seg 70%, Ba 2, Eo1%, Ly 10%, Mo 4%),
BM-ANC 124万/μl (M/E 8.1,Blast2%, Myeloid; dysplasia)
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[PB-MG.×1000 ] 拡大して見る |
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[BM-MG.×400] 拡大して見る |
[BM-MG.×1000 ] 拡大して見る |
【解答の選択】
A:特殊染色所見 | |
1 | NAP染色が正常であること。 |
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2 | NAP染色が低値であること。 |
3 | NAP染色が高値であること。 |
B:染色体・遺伝子検査所見 | |
1 | t(9;22)/BCR-ABL1を認めること。 |
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2 | t(9;22)/BCR-ABL1を認めないこと。 |
3 | t(15;17)/RARAを認めること。 |
形態診断 | |
1 | 慢性骨髄単球性白血病 |
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2 | 慢性骨髄性白血病 |
3 | 非定型慢性骨髄性白血病 |
【ねらいと解説】
60歳代.男性です。貧血と白血球の増加(56,000/μl)がみられます。血液像にて芽球、幼若顆粒球の出現と好中球の増加がみられ、一部に偽ペルガー核異常や輪状核好中球を認めます。
骨髄は過形成(124万/μl)でM/Eは8.1と明らかに顆粒球系の増加がみられます。芽球は2%と正常域であり、主に顆粒球系に巨大化、偽ペルゲル核異常、輪状核、低顆粒
などの形態異常がみられます。小型の円形核の巨核球も散見されます。
骨髄における顆粒球系の増加より、慢性骨髄性白血病 (CML)を疑いますが、顆粒球の強い形態異常、NAP染色の陽性指数、陽性率の正常、Ph染色体、BCR-ABL1遺伝子が陰性であった
ことより非定型性慢性骨髄性白血病 (atypical CML;aCML)と診断されました。
WHO分類(2008)におけるaCMLは骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍のカテゴリーに分類され
以下の特徴を示します。
@白血球の増加、APh染色体・BCR-ABL1遺伝子を認めない、BPDGFRAあるいは
PDGFRB再構成を認めない、C幼若顆粒球(前骨髄球〜後骨髄球)≧白血球の10%、D好塩基球<白血球の2%、単球<白血球の10%、E顆粒球増殖と顆粒球異形成を伴う
過形成骨髄、F芽球<20%(末梢血あるいは骨髄)
【解答】
A-1. (NAP染色が正常であること)
B-2. (t(9;22)/BCR-ABL1を認めないこと)
形態診断-3. (非定型性慢性骨髄性白血病)
【正解率】
A. 85%
B. 100%
形態診断. 85%