症例10 17歳代.男児 RBC462万/μl, Hb 9.0g/dl, Ht 24.9%,
血液像と骨髄像のMG染色所見から考えられる疾患は何でしょうか。 解説と解答
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選択するもの | |
1 | 鉄欠乏性貧血 |
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2 | 球状赤血球症 |
3 | 鉄芽球性貧血 |
4 | 巨赤芽球性貧血 |
5 | 再生不良性貧血 |
【ねらいと解説】
血算値に血小板の記載がありませんでしたが、血小板は28.7万/μlと正常でした。
貧血から赤血球恒数を計算しますと、MCV 53.8fl、MCH 19.4pg、MCHC 36.1%より小球性低色素と正球性
正色素性の混在(二相性)がうかがえます。末梢血液像では赤血球の形態、骨髄像では赤芽球の形態異常を捉えることが診断を裏付けます。
【末梢血液像の所見】
赤血球形態は大小不同のなか、正常の赤血球のほかに小球性、菲薄や奇形などの形態異常を認めます。従って二相性の形態像から鉄芽球性貧血を疑います。
【骨髄像の所見】
正形成像の骨髄は、M-E比が1.28でやや赤芽球が優位で、それらには成熟段階がうかがえます。
形態学的にはスライドのような細胞質が染まっていない部分(不染部:私見)が多くみられました。
これはヘモグロビンの合成障害にみられるもので、鉄芽球性貧血にみられる特徴的な形態と思われます。
鉄染色では鉄顆粒を環状的に含む鉄芽球(環状鉄芽球)が認められ、この陽性顆粒はフエリチンを貯蔵しているといわれています。
【診断に必要な他の検査所見】
血清鉄の増加、総鉄結合能の正常〜低下、血清フエリチンの高値、血清トランスフエリン鉄飽和率の高値など。
【解答】
3. 鉄芽球性貧血 (ビタミンB6の低下が原因で後天性に発症したもので、ビタミンB6はヘム合成の初期の段階で必須であり、これが不足するとプロトポルフイリン環が産生されずにヘムの合成低下を来すといわれています。鑑別疾患にはサラセミアがあります。)
【正解率】
58%