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検査技師のためのマンスリー形態マガジン

症例13 骨髄像にて単球系が20%以下でした。
芽球の情報を加味しながら、考えられる病型はどれでしょうか。
 解説と解答

   
[芽球 80% (TypeT)]
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[芽球 93% (TypeT+U)]
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  [芽球 56% (TypeT+U)]
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選択病型
1 AML-M0
2 AML-M1
3 AML-M2
4 AML-M3
5 AML-M4

 

【ねらいと解説】

急性骨髄性白血病(AML)の病型を提示しました。
骨髄で単球が20%以下との表示がありますので、単球系が絡むAML(M4,M5a.b)は否定される と思われます。ここで表示している芽球のTypeT、UはFAB分類(1985)に準じたものでT芽球はアズール顆粒やアウエル小体を全く有しないもの、U芽球は少々のアズール顆粒を有しアウエル小体を有するものとされます。これらの芽球は改訂WHO分類(2008)では顆粒を有しない芽球 (agranularblast)と顆粒を有する芽球(granularblast)に分けられているようです。
A.は芽球の量的異常よりも質的異常が優先されます。すなわち、アズール顆粒やアウエル小体 を有しないT芽球が主体であることで、微分化型急性骨髄性白血病(AML-M0)に分類されます。
このタイプはAMLでありながら光顕的MPO染色が陰性ですので、表現型(CD13,33,anti-MPO の陽性)か電子顕微鏡下でMPOを証明することが確定診断になります。
B.は芽球の量的異常が優先されます。すなわち、TとU芽球の混在したものが90%以上(実際 は93%)を占めることで未分化型急性骨髄性白血病(AML-M1)に分類されます。
C.は芽球の量的異常が優先されます。すなわち、TとUの芽球の混在したものが20%以上90%以下実際は56%)であることで分化型急性骨髄性白血病(AML-M2)に分類されます。
この病型は分化傾向が強くなり、芽球と前骨髄球との鑑別が要求されます。

【解答】

A:1. AML-M0
B:2. AML-M1
C:3. AML-M2

【正解率】

A: 70%
B: 70%
C: 70%

 


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