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検査技師のためのマンスリー形態マガジン

Q1. 末梢血の細胞同定を行って下さい。 解答と解説

 
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【ねらいと解説】@A

桿状核球と分葉核球の鑑別です。
ここでは日常使用されています日本臨床検査技師会血液研究班の勧告法(1996)から解説しますと、核の最小幅が最大幅の1/3以上を示す場合は桿状核球、1/3以下を示す場合は分葉核球として捉えることになります。
私案ですが、双方とも顆粒球の分化段階の終着ですのでクロマチンは粗荒を呈しますが、それは桿状核球より分葉核球に強度で、結節状(凝集状)を呈することが多いようです。そして桿状核球は俗語から棒状(バナナ状)の形状を示し、核形に一連の流れがあるようにも思われます。
核の重なりがあり分類不能のものについては分葉核球へ分類する方向になっているようです。
これについては通常桿状核球は7%、分葉核球が60%前後とされますので割合の多い分葉核球へ分類することは妥当かと思われます。
日本検査血液学会形態標準化委員会(2003)が提示した「核糸の不明なものは桿状核球へ分類する」については桿状核球が増加することも含め本委員会での継続審議になっています。

【解答】
@-1、A-1:核糸がみえる分葉核球、
@-2:クロマチン網工が結節状の分葉核球、
@-3、A-2:核の最小幅が最大幅の1/3以上を示し、核形に一連の流れを認める 桿状核球、
A-3:核の重なり、クロマチンが結節状の分葉核球

【正解率】
1) 1:100%  2:85%  3:85%
2) 1:100%  2:85%  3:100%

【ねらいと解説】BC

単球の分葉と分葉核球の鑑別です。 ここではクロマチン網工が最大のポイントで、以下細胞質の色調や顆粒の状態などが所見として重要になります。
単球はクロマチン網工は繊細で、細胞質は弱い好塩基性や空胞がみられ、微細なアズール 顆粒を有します。
一方、好中球はクロマチンは粗荒(結節状)で、細胞質は橙黄色の色調で、好中性のやや大きな顆粒を有します。
従って、単球にいくら分葉が進んでも、クロマチン網工の繊細さを中心に捉えれば問題は生じません。ただ、このように好中球以外に分葉が発生した細胞については表現法を使い分ける必要があるかと思われます。
私案ですが、好中球には過分葉としてhypersegmentationが使われていますので、それ以外の細胞に(過)分葉が起こったときは(hyper)lobulationとして使い分けるのも一法かと思われます。

【解答】
B-1、C-1:単球
B-2、C-2:分葉核球

【正解率】
3) 1:100%  2:100% 
4) 1:85%    2:100% 

 

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