症例19 解説と解答
65歳代.男性例です。
必要な検査所見(A,B)と形態診断を行って下さい。
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【解答の選択】
A:特殊染色所見 | |
1 | PO染色が陰性であること。 |
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2 | PO染色が陽性であること。 |
3 | PAS染色が陽性であること。 |
B:表現型検査所見 | |
1 | CD5(+),19(+),20(±),HLA-DR(+)sIg(±)であること。 |
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2 | CD10(+),19(+),cCD79a(+),cCD22(+),HLA-DR(+)であること。 |
3 | CD19(+), 20(+), FMC7(+),HLA-DR(+),sIg(++)であること。 |
4 | CD13(+),33(+), HlA-DR(+)であること。 |
形態診断 | |
1 | 前リンパ球性白血病 |
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2 | 慢性リンパ性白血病 |
3 | 急性リンパ性白血病 |
4 | 急性骨髄性白血病 |
【ねらいと解説】
高齢の男性例です。頸部リンパ節腫大を認め、末梢血では白血球の増加(32,000/μl)がうかがえ、血液像にてリンパ球が80%みられました。リンパ球数は25,600/μlと著増しています。形態所見からリンパ球は小型〜中型でN-C比が高く、核クロマチン網工は粗鋼気味で成熟型を思わせます。
骨髄は正形成でリンパ球が72%みられました。末梢血同様に成熟型の形態がうかがえます。高齢で、リンパ節腫大があり、末梢血にリンパ球が増加(5,000/μl以上)していることで慢性リンパ性白血病(CLL)を疑います。リンパ系ですのでPO染色が陰性になり、次にBcellかTcellの鑑別になりますので表現型の検索が必要になります。
本例は表現型でCD5、CD19、CD22、CD23などが陽性で、CD20は弱陽性、表面免疫グロブリンはIgM+IgDタイプが弱陽性のBcellタイプでありました。本型の表現型の特徴として、他のBcellタイプに比べCD20ならびにsIgの発現が弱いことが多いようです。本例は染色体は正常核型で、リンパ節生検にてリンパ節の基本構造が失われるほどの小型リンパ球の腫瘍性増殖が認められました。
【解答】
A.-@、B-@、形態診断-A
【正解率】
A.90%
B-@.50%
形態診断-A.70%