症例15 10歳代.男児。
白血球12,000/μlの血液像と骨髄像から考えられる病態は何ですか。
優位の細胞はPO染色に陰性です。 解説と解答
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1 | 急性リンパ性白血病 |
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2 | 百日咳感染症 |
3 | 成人T細胞白血病 |
4 | 伝染性単核球症 |
5 | 慢性骨髄単球性白血病 |
【ねらいと解説】
臨床データや検査データが少なくて申し訳ありませんでした。
小児例で発熱(38.6℃)と全身倦怠感を訴え近医を受診し、扁桃腺の腫脹にて抗生物質の投与
を受け、同時に両側に圧痛を伴うリンパ節腫大を認めるようになり当院紹介入院となりました。
入院時、上記の理学的所見に咽頭痛や肝脾腫、両側頸部に拇指大のリンパ節腫大を認めました。
検査所見では貧血や血小板減少はなく白血球増加(12,000/μl)やAST62U/l、ALT86U/l、
LD546U/lの高値がみられました。末梢血所見ではリンパ球の増加(70%)がみられ、その56%ほどが
N-C比が低く、クロマチン網工が粗荒、細胞質に強好塩基性(抗原刺激に反応したもの?)を
認めたため異型リンパ球を考えました。そこでウイルス疾患を考え、追加検査にて抗VCA-IgM抗体
が陽性でした。発熱、咽頭痛、肝脾腫、リンパ節腫大などや異型リンパ球の出現、また抗VCA-IgM抗体
の陽性より小児不顕性感染による伝染性単核球症と診断されました。
本例はたまたま骨髄穿刺が施行されましたが、骨髄にも異型リンパ球(矢印)はみられましたが
6%位と少ないようでした。本型は末梢血の異型リンパ球が手掛かりになりますが、判定基準が
十分でないため同定に個人差が発生します。我々は、@大きさは16μm大以上、AN-C比は低い、
Bクロマチン網工は粗荒、C細胞質の好塩基性は強い‥の所見をポイントにしています。
@については大型の他に小型の異型リンパ球も確かに存在しますが、刺激に反応したリンパ球は
通常大型になりやすいということと、小型については観察者間の相関をよくするための策です。
【解答】
4. 伝染性単核球症 Infectious mononucleosis