症例8 25-30代.男性、Bicytopenia、芽球は末梢血で47%、骨髄で68%でした。
考えられる疾患は何ですか。 解説と解答
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選択病型 | |
1 | 急性骨髄性白血病(AML-M1) |
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2 | 急性骨髄性白血病(AML-M2) |
3 | 急性骨髄性白血病(AML-8;21転座M2) |
4 | 急性前骨髄球性白血病(AML-M3) |
5 | 急性骨髄単球性白血病(AML-M4) |
【ねらいと解説】
分化傾向が旺盛で、形態異常を認める急性骨髄性白血病(AML)の例ですが、染色体異常を予測可能な代表的な病型です。
【骨髄像の所見】
芽球は末梢血、骨髄で20%以上を占めることで急性白血病を疑います。
しかも、芽球にはアウエル小体を認め、ペルオキシダーゼ(PO)染色が陽性よりAMLを疑います。
特徴的な所見として、芽球を含めて種々の形態異常を認めることです。
それらは、芽球では @大小不同がみられる(一般的に)、A核形不整が顕著である、
Bアウエル小体が多様性である(好中球にも認める)、成熟型(好中球)ではCペルゲル様の核異常
を認める、D低顆粒を認めるなどが診断に重要な所見になります。
また、PO染色は芽球から好中球にかけて強度に染まるのも特徴と思われます。
AMLでこのような形態異常を認める場合は8;21転座型を強く疑うことになりますので見逃さないこと
です。本例は遺伝子を含み詳細に記述しますと、t(8;21)(q22;q22)、RUNX1-RUNX1T1 (従来は、AML1-ETO)を証明することになります。表現型ではCD13、33、MPOなどの骨髄系マーカーに加え、CD19のリンパ系マーカーを発現することもあるようです。本例も含め本邦では若年者に発症することが多く、頻度はAML全体の5〜12% (AML-M2の約40%) とされます。本型はAML-M2に多くみられますが、自験例より稀としてAML-M1に、文献的にはAML-M4にもみられるようです。
【解答】
2. 急性骨髄性白血病(AML-8;21/M2)