第27回 「マンスリー形態マガジン」 2013年7月号

『 我が家のめだか達(パート2)』

前 略

  関東甲信越地区の梅雨明けが発表され、いよいよ夏本番の7月を迎えましたが、如何お過ごしでしょうか。我が家のめだか達にも“産卵期”がやって参りました。今年も事前に新しい仲間を増やして万全の準備に努めました。一般的に魚の産卵には仲間を増やしたりして、何らかの刺激を与えることが必要条件のようです。その甲斐もあり、6匹の仲間が誕生しました。おおよそ3~5mmの大きさで、それぞれが与えた餌に驚きながら、一生懸命に食べる姿は愛おしいものです。毎日、顕微鏡で細胞観察するかのように”拡大鏡”装着して(笑)水槽観察に夢中の日々です。 また、4匹の金魚も同居していますが、彼らもとても元気です。いつも出張帰りの私を探して、縦列にならび餌を求めてきます。出張疲れの私を癒してくれる大切な仲間で、ついつい話かけることもあります。"今回の講演会では一杯来んしゃったよう。だけん、明日からも頑張らないかんねぇ・・・。"

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 


4匹の金魚たち
4匹の金魚たち

新しい仲間が増えためだか達
新しい仲間が増えためだか達



著作権について

今回のねらい

今月は、MG染色の末梢血液像と慢性骨髄性白血病(慢性期)におけるPO染色の骨髄像を提示しました。MG染色像では、鑑別を要する細胞、成熟過程の細胞や形態異常をどのように捉えるかについて考えてみます。また、PO染色像では、陽性と思われる細胞の同定と陽性態度について、また陰性と思われる細胞についてはその理由を考えてみます。

問題

第27回 CASE 1 ~ 3における細胞像を確認して1 ~ 6の細胞の同定を行ってください。

1-1CASE 1

  • PB-MG×1000

1-2CASE 2

  • PB-MG×1000

1-3CASE 3

  • PB-MG×1000

CASE 4 は、慢性骨髄性白血病(慢性期)の骨髄像です。PO染色の所見を述べてください。

2-1CASE 4

  • BM-PO×1000

解答・解説

  • (PB-MG×1000)Case1
    case1
    (PB-MG×1000)Case2
    case1 (PB-MG×1000)Case2
    case1
  • (正解と解説)
    【正解】
    1. ⑥ 分葉核球      2. ⑧ 単球      3. ⑩ 幼若好塩基球
    4. ⑩ 幼若好塩基球      5. ⑪ 偽ペルゲルヒュエット核異常
    6. ⑪ 偽ペルゲルヒュエット核異常

    【解説】 

    問題1.は末梢血液像です。Case1 1.の細胞は、核糸が不明瞭ですが核の重なりが見られ分葉核球と同定しました。2.の細胞は、核の形状から桿状核球に類似していますが、それよりも大きくて、核網工は繊細、細胞質は灰青色で空胞を有することから単球に同定しました。
    Case2.の細胞は、好中球よりやや小型の細胞で、核は類円形を呈し、黒紫色のやや粗大な顆粒が核の上にも散在します。従って分化成熟過程の細胞と思われ、幼若好塩基球に同定しました。
    Case3.の細胞は、核は類円形でN/C比は低く、顆粒は見当たりません。また、核網工はクロマチンの凝集が強くため、分化傾向が強い細胞と思われます。見かけ上は骨髄球になりますが、核網工が合致しないことから偽ペルゲルヒュエット(以下PH)核異常の好中球と思われ、低顆粒を伴った形態異常として同定しました。
    PHの捉え方は、個人差があるため再現性が悪くなるために目合わせは必要です。また、私は、分類項目として“other”細胞に分類し、コメントを付記するようにしています。



  • (BM-PO×1000)Case4
    case2
  • (正解と解説)

    【解説】

    本症例は、慢性骨髄性白血病(CML)の慢性期例です。CMLは周知のとおり、骨髄増殖性腫瘍(旧.慢性骨髄増殖性疾患)の代表的な疾患で遭遇しやすい疾患の1つです。慢性期CMLの骨髄は、骨髄系細胞(顆粒球系)の増殖により、赤芽球系細胞は抑制され、顆粒球系細胞には芽球の増加を認めない成熟過程が認められるのが特徴です。顆粒球系細胞は、好中性が主体ですが好塩基球や好酸球の増加も伴います。
    提示した症例は、骨髄のPO染色(Mc.Junkin法)です。細胞像12時方向の細胞は、太い顆粒と陽性態度が強いことから幼若好酸球(好酸性前骨髄球)が疑われます。細胞像7時方向の細胞は5時方向に一部陽性がみられ、形態学的所見を加味すると骨髄芽球と思われます。さて、それ以外の細胞群がポイントです。これらはすべて陰性のようですが、細胞像7-9時方向の細胞は、核が類円形で幼若型が伺え、細胞像3時方向の細胞は、核の分葉が見られることから成熟型が伺えます。また、細胞質には空胞が認められ、おそらく染色過程で溶出したものと思われますので好塩基球と同定しました。好塩基球は、PO染色に陽性であるといわれ、実際に陽性の所見を見かけることがあります。MG染色においても好塩基性の顆粒が抜けるようにPO染色の陽性所見も同様な過程をとることを覚えておくべきでしょう。



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