第22回 「マンスリー形態マガジン」 2013年2月号

『 博多に舞い降りた神様 』

前 略

  三人の検査技師が立ち上げた「博多血液学シンポジウム(現在の博多シンポジウム)」は、1987年8月30日福岡市で開催され、全国から330名の方に参加を頂きました。
  さて、第4回(1990年)博多シンポは、FAB分類提唱者の一人であるD.Catovsky博士(英国)をお招きし、“FAB分類 最近の話題”と題してAML分類に新しく追加された「M 0」についてご講演を頂きました。講演前に開催したパネルディスカッションでは、D.Catovsky博士からMG染色標本をほめて頂きました。
  また、1999年には FAB分類の中心的提唱者であるJ.M.Bennett 博士(米国)をお招きし、新WHO分類(2001)についてのご講演を頂きました。血液形態学を志す者の一人として、世界の臨床血液学をリードするお二人の先生を博多にお招きすることができたことは、私にとって大切な宝ものとして一生の思い出になっています。
  博多シンポは今年で26回を数え、11月23~24日福岡大学メディカルホールで開催されます。11月23日みなさまにお会いできますことを楽しみにいたしております。

D.Catovsky博士(写真中央 右)、筆者(写真中央 左)
     記念品として博多人形を贈呈する
D.Catovsky博士(写真中央 右)
筆者(写真中央 左)
記念品として博多人形を贈呈する

博多シンポジウムのテキスト(プログラム)
博多シンポジウムのテキスト
(プログラム)

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 




著作権について

今回のねらい

末梢血液像の細胞判定から始まった本シリーズは、一連のプログラムを経て無事終了しました。
今回から新しい企画として、“MG染色の読み方” と “特殊(細胞化学)染色の判定”のテーマで始めさせて頂きます。
特殊染色は普通染色による形態学判定の限界をカバーするゴールドマーカーになりますが、所見の捉え方ひとつで誤診を招くことにもなり得ます。現在、使用する反応試薬はキット製品で賄っていますが、必要に応じて自家調整した試薬で実施することを経験する場合もあります。
今回のシリーズでは、ペルオキシダーゼ(PO)染色、エステラーゼ(EST)染色、アルカリホスファターゼ(ALP・NAP)染色、多糖類(PAS)染色、酸ホスファターゼ(ACP)染色、超生体染色について細胞像を提示し、解説を致します。

問題

CASE 1の細胞像を確認し、A ~ Kの細胞同定を行ってください。

1-1CASE 1

骨髄中に芽球が92% みられました。MG 染色、PO 染色像を確認し、選択病型から病型の分類を行って下さい。

2-1CASE 2

  • BM-MG×1000

  • BM-PO×1000

解答・解説

  • (BM-MG×1000)Case1
    case1
  • (正解と解説)
    【正解】A. 異型リンパ球、B. リンパ球、C. 異常リンパ球
    D. 異常リンパ球、E. 異型リンパ球、F. リンパ球、G. リンパ球
    H. 異常リンパ球、I. 異型リンパ球、J. 異常リンパ球
    K. 異常リンパ球

    【解説】 
    リンパ球は、大きさ16μm以下でN/C比は低く、核網は粗剛で淡青色の細胞質を有することが特徴です。但し、Bの細胞は好塩基性の細胞質から異型リンパ球としたいのですが大きさから小リンパ球になります。好塩基性は本細胞の特徴でもあることで(小)リンパ球として同定します。
    異型リンパ球は、大きさ16μm以上でN/Cは低く、核網は粗剛で中~強度の好塩基性を有します。ウイルス疾患などで抗原刺激を受けて大型となり、強い好塩基性を示します。Eの細胞は形質細胞様の異型リンパ球と思われますが、細胞の大きさから異型リンパ球の基準より小さいのでリンパ球になります。再現性や相関を重視すると目をつむらねばならないこともあります。
    異常リンパ球は、大きさが様々でN/C比は高く、核網は繊細から粗剛と変化に富み、核形不整、核小体や空胞、突起物が特徴になります。周囲に単一様式を示す場合は腫瘍所見です。



  • (BM-MG×1000)Case2
    case2
    (BM-PO×1000)
    case2
  • (正解と解説)
    【正解】2. 未分化型急性骨髄性白血病 (M1)
    【解説】 
    骨髄の芽球が92%を示し、芽球のPO染色はこの画像で7個が染まっておりますので、AMLの診断基準の3%は超えているようです。したがって未分化型急性骨髄性白血病(FAB-M1)と診断しました。



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