第15回 「マンスリー形態マガジン」 2012年7月号

『 大震災での子供たちの勇気 』

前 略

  今回も前回同様、東日本大震災の被災時における勇気ある行動についてご紹介します。東北地方では日ごろの避難訓練の中、中学校の担当教官は子供たちに「君たちは助けられる側ではなく、助ける側です。」と訓辞をされていたそうです。今回の大震災では、その教訓が見事に生かされ、子供たちは近くの小学校に駆け込み、ちっちゃな小学生の手を引き、安全な高台の避難場所へと誘導したそうです。それに導かれたお年寄りも無事に避難し、その地区での被害を最小限に防ぐことができたそうです。
  おそらく子供たちは自らの安全も危ぶまれる状況でしたが、日頃の「災害マニュアル」の避難訓練と子供たちの勇気によって、多くの住民の命が救われました。
  今後も子供たちは大きな勇気を持ってふるさとを復興していくことでしょうね。

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 




著作権について

今回のねらい

今回も先月同様、赤芽球の同定を行います。赤芽球の同定につきましては、下記の日本検査血液学会標準化委員会が2007年策定しました赤芽球系幼若細胞の分類基準試案を確認頂きながら進めてください。

問題

CASE 1 ~ 3 を観察して頂き、CASE 1 における1 ~ 4 の細胞の同定を行ってください。

1-1CASE 1~3

  • CASE 1:BM-MG×1000

  • CASE 2(全体像から):BM-MG×1000

  • CASE 3(全体像から):BM-MG×1000

解答・解説

今回のねらい

今回も先月同様、赤芽球の同定を行います。赤芽球の同定につきましては、下記の日本検査血液学会標準化委員会が2007年策定しました赤芽球系幼若細胞の分類基準試案を確認いただきながら進めてください。

赤芽球系幼若細胞の分類基準試案

前赤芽球

前赤芽球 (Proerythroblast)直径:20~25μm、N/C 比:60~70%程度、核の位置:比較的中央に位置する
核クロマチン構造:顆粒状繊細、核小体:あり、濃く紫色に染まる
細周明庭を認める

好塩基性赤芽球

好塩基性赤芽球 (Basophilic erythroblast)直径:16~20μm、N/C 比:50~60%程度、核の位置:比較的中央に位置する
核クロマチン構造:顆粒状、核小体:なし
細胞質:濃青色、前赤芽球に比べて濃い、核周明庭も認める

多染性赤芽球

多染性赤芽球(Polychromatophilic erythroblast)直径:12~18μm、N/C 比:40~50%程度、核の位置:比較的中央に位置する
核クロマチン構造:粗大なクロマチン一部塊状、核小体:なし
細胞質:淡青色から橙紅色(ヘモグロビン色調)を認める

正染性赤芽球

正染性赤芽球(Orthochromic erythroblast)直径:8~10μm、N/C 比:20~30%程度、核の位置:比較的中央に位置するが偏在することもある
核クロマチン構造:濃縮し構造は見られない、核小体:なし
細胞質:正常赤血球とほぼ同じ色調を呈する
CASE 1
(BM-MG×1000)
case1
(正解と解説)
【正解】
1-1.正染性赤芽球、1-2.好塩基性赤芽球、1-3.多染性赤芽球、1-4.好塩基性赤芽球
【解説】 
赤芽球の成熟段階がみられます。この成熟段階を捉えるには前回と今回の“ねらい”にも触れたように大きさと細胞質の色調から攻めることになります。すると、1-2.が好塩基性、1-3.が多染性、1-1.が正染性赤芽球になります。
1-4.は1-2.に比べ細胞は小さく、クロマチンが粗剛で多染性赤芽球を思わせますが、N/C比が高く、細胞質が好塩基性であることから好塩基性赤芽球が考えられます。さらに、1-1.1-2.1-3.のクロマチンの差にも注目してください。

CASE 2(全体像から)
(BM-MG×1000)
case2
(細胞像所見)
細胞質に不染部がみられます。
中央に位置する7個の細胞は赤芽球ですが、いずれも細胞質が狭く、一見リンパ球にも見えます。核と細胞質の所見から多染性赤芽球と思われます。 通常であれば、それぞれの細胞には核の成熟に合致した細胞質が確認されますが、この細胞はヘム合成の障害によって不染部が生じ、私は狭小化現象と表現しています。
本症例は鉄欠乏性貧血ですが、鉄代謝異常でおそらく貯蔵鉄(フェリチン)の枯渇が原因である可能性が高く、血清鉄や血清フェリチンのデータを確認する必要があります。

CASE 3(全体像から)
(BM-MG×1000)
case3
(細胞所見)
細胞質に不染部がみられます。
図右側の4個の細胞は細胞質の色調やクロマチンの結節状などの所見から多染性赤芽球と思われます。いずれの細胞も細胞質の染色性にムラがあり、多染性の部分と白い部分が交錯しています。これはヘム合成の低下によって生じたもので、私は細胞質の不染部として表現しています。
本例は鉄芽球性貧血ですが、ポルフィリン代謝異常でおそらく鉄利用障害が原因であることが考えられ、血清鉄やトランスフェリン(総鉄結合能:TIBC)のデータを確認する必要があります。

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