第8回 「マンスリー形態マガジン」 2011年11月号

前 略

  10月に入り、あちらこちらの校庭から学童の声が響き渡り、運動会のシーズンが訪れました。私たちの頃は秋期の開催が定番でしたが、最近では春期に開催するところも多くなってきています。いずれにしましても子供たちが校庭を駆け巡るシーンはとても癒されます。
  運動会の想い出で私には忘れることができない記憶があります。それは私が中学生の秋期大運動会において生徒を代表して閉会の辞を述べたことです。父に作文してもらいましたが、今でもその内容が脳裏から離れません。私の父は地方公務員で真面目な性格で、それが災いしたのか、決して子供が使う言葉ではない作文でしたが一生懸命覚えたことをこの時期になるといつも想い出されます。

(生徒代表 阿南建一君のお礼の言葉)
「本日は非常によい天候に恵まれ、父兄の方々には早朝より私どもの演技をご覧下さり誠にありがとうございました。また、選手諸君は日頃鍛えた演技を十二分に発揮されここに秋期大運動会が無事終了しましたことに厚くお礼申し上げます!」

今回から広義の意味で骨髄系細胞を中心に提示したいと思いますので、形態学スキスキグループのみなさまのご参加をお待ちしております!

草々

形態マガジン号キャプテン 阿南 建一 




著作権について

今回のねらい

今回は顆粒球と単球を中心に鑑別を要するポイントに挑戦してみたいと思います。
形態診断は定性的な同定になりますので、それを定量的に試みるにはこれから同定する細胞に対してよく似た(対照)細胞を周囲に並べて、核・細胞質の異なる所見を捉えながら診断に結びづけるようにします。これが鑑別のポイントになる訳です。
顆粒球と単球の場合は、桿状核球・分葉核球に対して桿状化や分葉化した単球が鑑別の対照になります。形状は類似しても、大きなポイントとして好中球のクロマチン構造(核網)は結節状を呈するのに対して単球は繊細網状を呈することになります。

問題

CASE 1-4における 1~9の細胞同定を行ってください。

1-1CASE 1

  • BM-MG×1000

1-2CASE 2

  • BM-MG×1000

1-3CASE 3

  • BM-MG×1000

1-4CASE 4

  • BM-MG×1000

解答・解説

今回のねらい

今回は顆粒球と単球を中心に鑑別を要するポイントに挑戦してみたいと思います。
形態診断は定性的な同定になりますので、それを定量的に試みるにはこれから同定する細胞に対してよく似た(対照)細胞を周囲に並べて、核・細胞質の異なる所見を捉えながら診断に結びづけるようにします。これが鑑別のポイントになる訳です。
顆粒球と単球の場合は、桿状核球・分葉核球に対して桿状化や分葉化した単球が鑑別の対照になります。形状は類似しても、大きなポイントとして好中球のクロマチン構造(核網)は結節状を呈するのに対して単球は繊細網状を呈することになります。

 

  • Case1(PB-MG1000)
    case1
  • ともに顆粒球系と赤芽球系の芽球として鑑別を要する細胞です。大きさは前赤芽球の方が大きく、クロマチン網工は骨髄芽球の方が繊細になります。大きさは中央の好中球の約13μmを目安にします。

    細胞1
    【選択細胞】 13.前赤芽球
    【解説】  クロマチン網工は顆粒状で核はほぼ中心性、核小体はありますがはっきり見えません。細胞質の好塩基性は強く突起も認めることから前赤芽球に同定しました。
    細胞2
    【選択細胞】 1.骨髄芽球
    【解説】  核小体は明瞭(クロマチンが取り囲む習性)で細胞質の好塩基性は弱く辺縁の方に偏る傾向から骨髄芽球に同定しました。

 

 

  • Case1(PB-MG1000)
    case1
  • ともに核が偏在傾向にあることから同系細胞として捉えます。しかし、細胞4は核がやや大きく、クロマチン網工がやや繊細であることから細胞3に比べ幼若型として捉えることになるでしょう。

    細胞3
    【選択細胞】2.前骨髄球
    【解説】  核の極端な偏在はゴルジ野の発達がうかがえ、アズール顆粒は10時方向に僅かに見られる他は認めませんが全体像から前骨髄球に同定しました。
    細胞4
    【選択細胞】 2.前骨髄球
    【解説】  細胞質の好塩基性は別にして、大型でアズール顆粒を有することで骨髄芽球を否定できます。アズール顆粒や核偏在傾向を認めることから前骨髄球に同定しました。幼若な前骨髄球で分裂直前の細胞かも知れません。

 

 

  • Case3(PB-MG1000)
    case1
  • 3個ともそれぞれの特徴をみつけ同定することになります。

    細胞5
    【選択細胞】  11.単球
    【解説】  クロマチン網工は繊細で中央に核内への切れ込みがみられ、そして微細なアズール顆粒を認めることから単球に同定しました。
    細胞6
    【選択細胞】  2.前骨髄球
    【解説】  核の偏在とクロマチン網工は粗網状で核小体を認め、そして太めのアズール顆粒を認めることから前骨髄球に同定しました。
    細胞7
    【選択細胞】  6.分葉核球
    【解説】  クロマチン網工は結節状ですが通常に比べてその塊りは強く、ペルゲル様の核異常にもみえる分葉核球に同定しました。

 

 

  • Case4(PB-MG1000 )
    case1
  • 双方ともよく類似した細胞ですが、大きさ・核の染色性と核形不整がポイントになります。大きさは細胞8が大きいようです。

    細胞8
    【選択細胞】  11.単球
    【解説】  クロマチン網工は繊細(薄い染色性)で核の切れ込みがみられ、細胞質には弱い好塩基性(くすんだ色調)を認めることから単球に同定しました。
    細胞9
    【選択細胞】  4.後骨髄球
    【解説】  クロマチン網工は顆粒状(やや濃い染色性)で核に弱い陥没がみられますが、単球のような切れ込みではないことから後骨髄球に同定しました。

 

 

 

 



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