【変 遷】
1949年Seligmanらにより、β-グルクロニダーゼの組織学的証明法がなされ、1957年武内らにより血液学的に応用されたが、鋭敏性、染色性に問題が残された。1965年朝長らは、naphthol AS-BI glucuronideを基質として、fast red violet LBをジアゾニウム塩として用い、優れた成績をおさめた。1967年Lorbacherらは、基質は同じで、ジアゾニウム塩にhexazonium pararosanilineを用い、冷凍処理を加えるなどしてさらに鋭敏性を高めた。
【臨床的意義】
リンパ球系のsubpopulationの識別に有用とされる。正常Tリンパ球は大部分が1〜数個の粗大顆粒(点状)の限局的陽性を示し、Bリンパ球は陰性か散在性の陽性を示す。Acp染色と同様、T細胞腫瘍マーカーとして適応されるが、症例によってはβ-Gl染色の方が陽性率が高いものがある。顆粒球系細胞やその他の細胞は散在性に染まる。
■β-Gl染色(朝長法)
【陽性顆粒:赤色】
【β-グルクロニダーゼ染色判定法】
〈従来法〉
0型 | 陽性顆粒なし |
---|---|
I型 | 細胞質内に粗大顆粒がほぼ充満 |
II型 | 細胞質内に粗大顆粒が局在、 その周囲に微細顆粒散在 |
III型 | 粗大顆粒散在 |
IV型 | 微細顆粒散在10個以内 |
V型 | 細胞質内に微細顆粒 |
〈著者らの方法〉
陰性 | |
---|---|
弱陽性 | びまん性 限局性 |
強陽性 | びまん性 限局性 |
図1 末梢血 (左)MG染色(右)β-Gl染色
[ATLLの症例]
本例は臨床病型より成人T細胞白血病リンパ腫と診断され、末期にATL細胞が末梢血に出現し始めた症例である.β-G1染色にて点状の限局性陽性を呈し、それはT細胞をうかがわせる陽性態度であった.
図2 末梢血 β-Gl染色
[GLPDの症例]
本例は顆粒リンパ球の増加(2、500/μl)より顆粒リンパ球増加症と診断された症例である.本細胞の性格はNK細胞型であり、β-G1反応で細胞質の片側に広く強陽性態度がみられ、これは本例の特徴的所見でもある.
形態学からせまる血液疾患 阿南建一ら (株)岡山メディック、(株)近代出版 1999年